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......遅い。
時計の針は嶺亜くんが行ってから30分くらい経っている。
嶺亜くんにとっての’すぐ’っていつなの？
「っ、もう知らない...！」
イライラが爆発した。
私みたいなワガママで自己中なガキなんかよりも、綺麗なお姉さんていた方が楽しいんだ。
嶺亜くんに何も言わずにレジで支払いをする。
...今朝お父さんがお小遣いくれて助かった。
“ありがとうございましたー！”という店員さんの大きな声を聞いて、店の外へ出る。
空はもうすっかり真っ暗で、1人で帰るのがなんだか寂しいような気がした。
学校の帰り道で1人になるのは慣れちゃったのに___。
イヤホンをして、周りの音を遮断した。
最近ハマっている曲を1番に選択して、自分の世界に浸りながら歩く。
...あ。嶺亜くんに一応連絡したほうがいいかな。
お気に入りの曲を聴いて紛らわしても結局、私の頭から嶺亜くんが離れることはない。
A先に帰るね!おやすみ!
嶺亜くん、いつ気付いてくれるかな。
なんて無駄な期待をして虚しくなる。
そうだよ。私は友達の妹っていう何でもないポジションで。
あの綺麗な女の人に比べたら何の取り柄もない。
嶺亜くんからしたら私は妹みたいな存在で、恋愛対象には1mmも入っていないだろう。
ああ、もう。
考えるだけ無駄なんだから辞めよ。
「..........あ」
誰もいないような暗い道で1人、小さな声が出た。
だって、だって。
この曲、嶺亜くんがオススメしてくれた曲だもん。
こんな時に流れるなんてタイミングが悪い___。
好きって。
誰かを好きになるって、こんなに苦しいものなのかな。
「っ！？ひゃっっ...！！！？」
後ろから手首をぎゅっと掴まれて、声が出る。
夜道を1人で歩いたのが間違いだった。
体が固まって、怖くて振り返ることができない___。
やだやだやだやだやだやだ。
誰か助けて、って叫びたいのに声が出ない。
お兄ちゃん...嶺亜くん......助けて........！！！
『A？』
「え？れ、あ...くん.......」
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作者名：心音. | 作成日時：2019年7月6日 23時
