一 週 間 ダ ケ 。４ 【中務裕太】

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でもその時聞こえてきたのは、





｢中務先輩！！｣





私の大好きな苗字で、なりたい苗字ベスト10を締めてるその苗字。条件反射からなのか思いっきり振り返ってしまい首がグキっていった。




ここから裕太くんの場所まで5mくらいあるのに“中務”っていうワードだけでこんなに反応できる私って凄くない？しかも人混みの中でその声を聞くって、すごいよね。





｢あの、｣





……だけどね、今の私には裕太くんしか見えないの。裕太くんと、裕太くんに声をかけた女の子しか見えないし、聞こえないの。




その女の子は私と同じ1年で隣のクラスかなんかの女の子。すごい細くて痩せていて美人で、…なんか、お似合いってこういうことを言うんだろうなって直感で思った。





｢6時に、昇降口で待ってます！！！｣





……6時、昇降口。




あれ、なんだっけ、さっきすれ違う人達が言ってた気がする。昇降口から見える花火が一番綺麗だって。




しかも後夜祭で打ち上げられる花火は5時45分からで、……終わりが6時15分。つまり、絶好調中の絶好調の時間。




もしかして、告白するのかな……って、ダメだよ、他の人の、増してや知らない人の恋路をあーだこーだ考えるなんて。




そうだよ、裕太くん、…裕太くんが、幸せになれるなら私は……いいんだ。





佐野｢……おい、A｣


『はい、？』





名前を呼ばれたのに、目が裕太くんから離れてくれなくて後ろを振り向けない。








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