see the world - 野替愁平 -

１６. ページ17

、



それから、結局彼女からの連絡は一通もなく、

俺の心は晴れるばかりか

どんどん雲を増殖してきている始末だった。






愁「会いたい…、声が聞きたい…、うあぁぁぁ…」


和「あの日からずっとあの調子ですよ」


KB「こればっかしはどないしようもないわ」






メンバーは変わらず優しい声をかけてくれるが、

どれもイマイチ俺の心には響かなくて。



超失礼なことしてるわ、俺。






愁「和希ぃ、ショッピング行こう、ショッピング」


和「いいっすよ〜」






気晴らしに和希と二人、街へ繰り出して

いろいろ見て回ったものの、あまりいいものもなく、

ウィンドウショッピングになってしまった。






「そうなんですね！」


愁「っ、」






渋谷のスクランブル交差点なんかは

比になんて全くならないが、

それなりの人通りの道で

不意に聞こえたその声に振り返ると、

そこには会いたくて仕方のなかった彼女がいた。



あの、男と。






和「SWAYさん？」


愁「…、Aちゃん」






突然歩みを止めた俺を

不思議そうに和希が振り返ったが、

そんなことは気にもとめず、俺は彼女に近寄る。






A「愁平くん…？」






俺の声を間違いなく、戸惑いもなく聞き分けて、

驚いた様子の彼女。



慌てて追いかけてきた和希と、

彼女の連れの男は何事かと俺たちを交互に見ている。






愁「なんで、」

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