see the world - 野替愁平 -

１１. ページ12

、



A『すっごくかっこよかった！！』






その夜、裕に深夜を超えているというのに

電話の向こう側の彼女の声は興奮冷めやらぬ様子で

いつも以上にハキハキとしている。






愁「俺すぐAちゃんのこと見つけた」


A『えー！そんなに客席見えるの？笑』


愁「結構バッチリ見えんだよ？笑」


A『えー、それはちょっと恥ずかしいな。笑』






早々とベッドに潜り込んで、

夢の中へと旅立つ前のこの心地よい声。



今日いつも以上に気合を入れた分、

少しの疲労感が漂う。






A『ねぇ、愁平くん』


愁「ん〜…？」


A『………、眠いの？笑』


愁「いや…、んぅ、まぁ…。笑」






微妙な間だったな。



ねぇ、愁平くん その後に続く言葉が、

本当はなんだったのか、

夢うつつだった俺はそこまで頭が回らなくて。






A『今日もすごく頑張ってたもんね。よく寝て、また明日から頑張ってください』


愁「任されよ〜」






なんとも気の抜けた返事に、彼女は小さく笑った。






A『じゃあおやすみなさい』


愁「ん、おやすみぃ」






最近よく、彼女と夢の中で出会うことが多くなった。



真っ白な世界に、

淡い黄色のワンピースを纏った彼女が、

俺の目の前に凛と立っていて。






A『 初めまして。愁平くん 』






太陽みたいに眩しい笑顔を俺に向ける、そんな夢。



初めましてなんかじゃないのに、と思いながらも、

何度何度も同じような夢を見た。

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