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席替えなんてなくなってしまえ #3 ページ4

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さっきから幻徳は黙って下を向いて歩いてる。

どうしよう、この空気。
私に好きな人がいるって打ち明けたのは相談に乗ってほしいからなのかな?


ぐるぐると頭を回転させていると、ぐにゃり、と足下に嫌な予感がする。と同時に縁石から足を踏み外してしまった


「うわあ、っ!!!」

「ちょっ、A!!」

幻徳が私の声に気づき、手首を掴んで歩道側へ引っ張ってくれた。


「あ、ありがとう。」


驚きのあまり女の子らしからぬ声をあげてしまった。
幻徳の好きな子は女の子らしく『ひゃっ』とか言うのかな、そうだよね。

俯き、少し落ち込んでいると、幻徳のほうからこの空気を破った


「さっきの、俺の好きな人が、Aだって言ったら、どう思う?」

「えっ?」


先ほどから掴んで離されていない手首が、妙に熱を持ち始めた。
幻徳に聞こえてるんじゃないかって思うほどの胸の音。
揶揄ってるとか、そんなんじゃないよね?


「どうって、嬉しい、けど。その、幻徳は、私のこと、どう、」

「好き。」


どう思ってるの?なんて聞こうと思ったら、幻徳からの食い気味の回答。
これは驚くしかない。

ずっと伏せていた顔をあげると、幻徳の真っ直ぐな瞳と視線が絡まった。


「・・・Aは?」

「私も、好きだよ?」



私の言葉を聞き、強張っていた幻徳の顔が綻んだ。
と、同時に、彼の大きな体が私に覆いかぶさろうとして、思わず彼の胸を抑えた


「ちょっと、ここ外だから、」

「今すぐ抱きつきたい、お願い」

「ダメ。」

「本当に好き。」

「もうっ、」

「ほんとにかわいい」


なんとか外でのハグは拒んだけど、私に投げかけられる慣れない言葉に、気を許してしまいそうになる。


思いがけない怒涛の進展に、この日の夜ようやく全て理解し、この日で1番顔が赤くなってしまうA



【あの時、好きな人と席が隣になれて、マジで嬉しかったから、席替えなんてしたくなかった。】

終わり ログインすれば
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作者名:plumes | 作成日時:2023年7月17日 0時

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