席替えなんてなくなってしまえ #2 ページ3
注(学生幻徳)
私の好きな人のお父さんは国会議員の有名なお偉いさんらしい。
中学の時、席が隣だったのがきっかけで仲良くなった氷室幻徳。
次の席替えでは離れ離れになっちゃったけど、よく私の席まで話しかけにきてくれて、隣じゃなくなったことにしょげていると、放課後、一緒に帰ってくれるようになったの。
これってもう、そういう関係?もうちょっとで付き合っちゃう?なんて何回も思ったけど、進展なんかしなくて。
彼は有名な私立高校にでも行くんだろうな。
高校で離れ離れになっちゃう前に気持ちを伝えてようって思ってたら、地元のみんなが行くような公立高校に進学するって聞いて、伝えるタイミングを逃して、片想いをズルズルと高校まで持ってきてしまった。
「そういえばなんでおぼっちゃまが地元の公立高校に進学してるの?」
高校に入っても、時間を見つけてよく一緒に帰っていることが不幸中の幸い。
先ほどの質問に対して、彼は面倒臭そうな顔をしながら「悪いか」と言って手をポッケから出し、縁石を歩いている私にデコピンをした。
「いったぁ、いや、なんでかなーって思ってね、」
「うーん、まぁ、それは、」
幻徳難しそうな表情をして、うーん、なんでだ、などと一通り考える様子を見せて、こう言った。
「好きな人を追いかけて、とか。」
それを聞き、一気に背筋が凍った。
「えっ、聞いてない、聞いてないよ、幻徳に好きな人がいるとか。えっ、誰?」
そりゃそうだ。言われてないもん、何て心の中でツッコミを入れられるくらい冷静で、
でも、どう考えても動揺しているのが私の言葉に全部出てしまう矛盾感にモヤモヤする。
「もしかして、私とか?なーんちゃって!幻徳また背伸びた?」
なんて冗談言わないと、話を逸らさないともう涙が出ちゃう。
地元の高校だから中学から一緒の子もたくさんいるし、
人気者の彼だから私の中に浮かんでる候補だって何人もいる。
きっと、最初から彼の目に私なんか映ってなかったのだろう。
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作者名:plumes | 作成日時:2023年7月17日 0時