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そんなある日だった。
「先生、戻りましたよ」
天使の微笑みをたたえ、あみさんは再び俺の前に現れた。
どんなことがあったのか、まくるさんとはどうなったとか、今どうしているのかとか。
聞きたいことはたくさんあった。
でも、何も言葉が出ない。
今はただ、彼女との再会が嬉しいという感情が頭を占拠していた。
「あみさん…！」
思わず手を握ってしまうと、彼女は微笑みながら、
「ご心配おかけしてすみませんでした」
と、頭を下げる。
感じる手のぬくもりは確かに本物で。
「生きてて、良かった…！」
人目もあるというのに、感極まって涙が溢れて止まらない。
彼女はそんな俺を近くの公園のベンチまで連れていき、落ち着くのを待ってくれた。
隣に腰掛けて、何を話すでもなくただただ隣にいるだけ。
それなのにこんなにほっとするのはなんでだろう。
こんなに落ち着いて、安心していられるのは。
そうしてしばらく隣で過ごす。
再会した時間もわりと遅かったため、日がだんだん傾いてきた。
「あみさん、夜ごはんに鴨ラーメン、食べに行きませんか」
「鴨ラーメン、懐かしいですね…！たしかその時は先生が値切りしてくださったんでしたっけ」
「ははは、そうですね。あの時は奢って頂いたので、今回は僕に払わせてください」
「いや、そんなこと」
「女性に奢ってもらいっぱなしなんて、カッコつかないんですよ。久しぶりの再会ですし、それくらいカッコつけさせてください」
少しおどけてそう言うと、申し訳なさそうに頭をさげつつもクスリと笑う彼女。
「ありがとうございます、ではお言葉に甘えさせていただきます」
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作者名：悠唯 | 作成日時：2020年12月6日 21時
