■ ８５ ■ ページ8
智「あの年から、港にタンカーが来はじめて。初めて渦が出てから、3回目だった」
遠く目の前に広がる海を見つめながら、小さな声で大ちゃんが話し出す。
智「俺らはまだ、渦がどんなもんかもよくわかってなくって。危ねぇんだろうけど、前の2回は出てすぐ消えたから。
どうやったら出来て、どう対処すりゃいいのか、みんなで調べてるとこだったの」
智「あの頃美晴さんがやってたＨＡＮＡＢＩに、俺は今のあいつらみたいに入り浸ってて。そこによく来る……海斗って5歳の男の子と、よく一緒に遊んでた」
"海斗"っていう名前を呟いた時の大ちゃんは、なにかに首を絞められてるんじゃないかっていうくらい苦しそうで、たぶんその名前を長く口にしてなかったんだろうって思った。
智「あの日。3回目の渦が出た日。俺昼に海斗と話したの。
ねぇ渦ってどんなの？って、海斗が聞くから。
俺、でかくてぐるんぐるん水が回って、かっけーんだぞって言って。
危ねぇから近寄るなよって何回か言ったけど、あいつ「うんっ」って笑ってて。
昼休憩終わるとこだったから、じゃーなってそのまま別れたの」
智「その日の夕方、渦が出て。
警報が鳴ってみんなが上がってる最中に、海斗のかあちゃんが泣き叫んでた。
『海斗が、海斗がいない』って」
智「俺は急いで泳いで、渦の近くまで、泳いで……。
渦ん中に海斗が吸い込まれて行くのが見えた」
もういいよって、もうやめてって心が叫んだけど。
黙って唇を噛み締めた。
智「助けようと…思ったんだけど。助けられんくって。
手ぇ伸ばしたんだけど…届かなくって
海斗の持ってた浮き輪だけが、渦から放り出されんの、見てて」
智「俺があの時、かっけーんだぞなんてバカみたいなこと言わなきゃ。
俺があの時、危ねぇから絶対近づくなってもっとちゃんと言っときゃ。
………海斗は死ななくてすんだの」
遠くを見てた大ちゃんの目が、ふっとこっちを向いて。
私を見ているんだけど、その目にはなんにも映っていないように見えた。
智「俺が……海斗を殺したの」
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あげは(プロフ) - 詩雨さん» あそこでキスはせずに帰る大ちゃんが、私的萌えポインツです(/ω＼*)(あ…また妄想が…笑)。きゅんきゅん成分低めの今作ですが、そう言ってもらえて嬉しいです!! 最終章も、よろしくお願いしまっす(*´∇｀*) (2015年6月11日 0時) (
レス) id: a189ab2091 (このIDを非表示/違反報告)
詩雨(プロフ) - きゃー！大ちゃんがぎゅって！また！もうイヤホン仲間の先輩は分かってますね！どこでキュンってするかを\(//∇//)\遂に完結の兆しが見えてきましたね！残りも頑張ってください☆★ (2015年6月10日 18時) (レス) id: d5cdb54bec (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - ぽにょかさん» ぽにょかさん、コメントありがとうございます!! あぁぁぁ…モヤモヤさせてしまってごめんなさい(涙)。そうなんです。いつ言おう、いつ言おうって、私は凛ですか並みに悩んでいました(--;) ニノとみんなのこれからを、どうぞ見守ってやってください(*´∇｀*) (2015年6月10日 8時) (レス) id: a189ab2091 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにょか(プロフ) - 今日の更新で凜ちゃんに対するモヤモヤがやっと取れました。主人公ちゃんが許してるのに、何故か主人公ちゃんの辛い出来事が曖昧になってた気がして心苦しかったのです。智君も翔君も良かったです。これからも楽しみにしてます。ニノちゃんは失恋したままなのかな？ (2015年6月9日 23時) (携帯から) (レス) id: 0bab093355 (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - 詩雨さん» ふふ…イヤホン妄想仲間なこと、忘れてません(￣▽￣)b 次章、真っ裸の５人にご期待下さい!!(いやR18じゃな…ry) (笑)。本当にいつもありがとうです(*´∇｀*)LOVE (2015年6月9日 20時) (レス) id: a189ab2091 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あげは
| 作成日時：2015年6月1日 23時
