■ ８０ ■ ページ3
「大ちゃんは、伝説のライフセーバーだったんでしょう？」
智「ぁん？」
「ニノが言ってた」
不思議そうにこっちを向いた大ちゃんが、ふんって笑う。
智「伝説なのは、俺じゃねーし」
「違うの？」
智「伝説なのは……俺のとーちゃん」
「お父さん？」
智「ん」
みんなのご両親の話はなんにも聞いたことがなかったから、急に出てきたその言葉にちょっと驚いた。
「お父さんも、ライフセーバーなの？」
智「ライフセーバーだった。俺が中学ん時、病気で死んだの」
「あ…ごめん」
智「ふふ。なんで、いーよ」
「お母さんは？」
智「かーちゃんは俺を生んだ時死んだ」
「あ…」
智「いーってば(笑)」
ふにゃんて笑って、もうぬるくなってるだろうビールを流し込む。
細いのに男っぽい喉仏を上下させて、ぷはっと息を吐いた大ちゃんが、遠くを見るような目をした。
智「俺のとーちゃん。すげくって。40で癌だってわかるまで、ずっとセーバーやってて」
智「この辺のセービングクラブ協会の、会長だったの」
ふふ。って、嬉しそうに笑う。
「そうなんだ。すごいね」
智「泳ぐのも走るのも速くって。潜水もハンパなくって。みんなが史上最高のライフセーバーだって言って憧れてたの」
いつもより饒舌な大ちゃんの顔は絶えず笑っていて、お父さんのことが大好きなんだなって伝わってくる。
「だから智くんも、ライフセーバーになったの？」
智「…うん。高校行かねーで、すぐね」
「どうして、やめちゃったの？」
今までゆらぁっと気持ちよさそうに揺れていた体が、ぴたっと止まって。
ふにゃって笑ってた顔が、不意に真顔になった。
智「おれぁ…ひ……だから」
大ちゃんが小さく呟いた声が、波の音に掻き消されてよく聞こえなくて。
「え？」って顔を寄せて覗き込んだら、私の目を見て薄く薄く、笑って。
智「おれは…人殺しだから」
そう言った大ちゃんの顔は、あの日砂浜に立ち尽くしてた時に見せた、悲しい顔で。
何か言おうと思った私の声は、次の波音に掻き消された。
雅「ねぇー、ニノが気持ち悪い新作マジックやるってー」
雅紀くんが私たちを呼ぶ声がして。
大ちゃんが「よっ」って軽々立ち上がる。
智「行くべ」
そう言って、私を見下ろして笑うその顔は。
もういつもの優しい大ちゃんの顔だった。
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あげは(プロフ) - 詩雨さん» あそこでキスはせずに帰る大ちゃんが、私的萌えポインツです(/ω＼*)(あ…また妄想が…笑)。きゅんきゅん成分低めの今作ですが、そう言ってもらえて嬉しいです!! 最終章も、よろしくお願いしまっす(*´∇｀*) (2015年6月11日 0時) (
レス) id: a189ab2091 (このIDを非表示/違反報告)
詩雨(プロフ) - きゃー！大ちゃんがぎゅって！また！もうイヤホン仲間の先輩は分かってますね！どこでキュンってするかを\(//∇//)\遂に完結の兆しが見えてきましたね！残りも頑張ってください☆★ (2015年6月10日 18時) (レス) id: d5cdb54bec (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - ぽにょかさん» ぽにょかさん、コメントありがとうございます!! あぁぁぁ…モヤモヤさせてしまってごめんなさい(涙)。そうなんです。いつ言おう、いつ言おうって、私は凛ですか並みに悩んでいました(--;) ニノとみんなのこれからを、どうぞ見守ってやってください(*´∇｀*) (2015年6月10日 8時) (レス) id: a189ab2091 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにょか(プロフ) - 今日の更新で凜ちゃんに対するモヤモヤがやっと取れました。主人公ちゃんが許してるのに、何故か主人公ちゃんの辛い出来事が曖昧になってた気がして心苦しかったのです。智君も翔君も良かったです。これからも楽しみにしてます。ニノちゃんは失恋したままなのかな？ (2015年6月9日 23時) (携帯から) (レス) id: 0bab093355 (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - 詩雨さん» ふふ…イヤホン妄想仲間なこと、忘れてません(￣▽￣)b 次章、真っ裸の５人にご期待下さい!!(いやR18じゃな…ry) (笑)。本当にいつもありがとうです(*´∇｀*)LOVE (2015年6月9日 20時) (レス) id: a189ab2091 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あげは
| 作成日時：2015年6月1日 23時
