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私を腕に抱いたまま、低く囁く声を聞いて。
奈緒ちゃん先輩の顔が、みるみる真っ赤に染まっていく。
急になにかのスイッチが入ったような雰囲気の先生に、私までドキドキが止まらない。
翔「早くしないと信号変わっちゃうけど？」
奈緒「しっ、しないってばっ。っていうか遊ばれてばっかって今もどうせ遊んでるんじゃん。いっつもそういうことばっかり言ってさっ」
翔「……」
奈緒「もういい加減、本当にそういうのやめ」
潤「奈緒」
ずっと黙ってた松本先生が、まくしたてる声を遮って。
ハンドルから、すっと身体が離れたら。
首だけ伸ばして、「え？」って横を向いた先輩の唇を、捕まえるみたいに塞ぐ。
奈緒「…っ」
目の前で重なった唇が、ちゅっと淡い音を立てて。
窓の外の光が、繋がった2人に影を作る。
息をするのも忘れるほど綺麗で、甘いキスシーン。
「…っ」
翔「……」
奈緒ちゃん先輩のドキドキが伝わってくるくらい静かな車の中で。
後ろからパァンって聞こえた音に引き剥がされるように、唇が離れた。
潤「やべ…」
奈緒「…っ」
翔「なにクラクション鳴らされてんだよダセぇな」
潤「うるせーなお前のせいだろ(笑)」
急いで車を発進させた松本先生が、バックミラー越しに櫻井先生を見て笑う。
奈緒「っ、もうなんで…」
潤「ん？」
奈緒「先生、櫻井先生と一緒だとおかしいよ」
潤「そう？」
奈緒「そうっ」
潤「だってあんだけ煽られて、見せつけてみろとか言われたらちょっとムカつくじゃん？」
奈緒「はぁっ!?」
潤「俺負けず嫌いだから(笑)」
取り乱す奈緒ちゃん先輩に向けられる、いたずらっ子な笑顔。
潤「翔もわかってて煽ったんだろ？(笑)」
翔「まーね」
潤「乗っかってやりましたよ」
翔「そーね」
奈緒・A「「 …… 」」
呆然自失の彼女2人を横目に、ふんって不敵な笑いを浮かべる。
THE・翔潤こと、どS高校教師。
…楽しんでる。
この2人、絶対楽しんでる。
翔「それにしてもお前らのリアクションの色気のねーこと」
奈緒・A「「はっ!?」」
翔「未成熟児過ぎて舌入れる気にもなんねー」
潤「入れようとしてただろ(笑)」
翔「ボランティア精神旺盛だからね俺」
潤「…優しいよな、俺たち」
翔「な」
奈緒・A「「 先生っっっ!!!! 」」」
翔・潤「「なんだよ」」
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作者名：あげは
| 作成日時：2016年7月6日 1時
