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「…っ!?」
突然のことに目を閉じることすら出来ない私の目の前で、先生の長い睫毛が揺れて。
離れない唇に、心臓が爆発しそうなほどどくんっと波打つ。
潤「……なぁ。見えてんだけど(笑)」
「〜〜っ!!!???」
びくぅっと身体が跳ねたのと一緒に、唇が離れて。
翔「知ってる」
私の肩を抱いて、まだ頬が触れる距離のまま。
バックミラーに向かって、先生がふんっと鼻を鳴らす。
奈緒「え？なに？」
潤「あ、お前振り向かない方が…」
奈緒「〜〜っ!!??」
潤「(笑)、だから言ったのに」
奈緒「なにやってんのっ!?」
翔「キスだけど？」
奈緒「っ、なんで」
翔「こいつが物欲しそうな顔するから」
「なっ!?」
翔「なんだよ」
「…っ」
物欲しそうな顔なんてしてないけど。
自分ではしてないつもりでもしてたんじゃない？って言われたら、否定出来ない気がするっ。
っていうか先生。
どうしていつも、この2人の前でなんの
もうドキドキと恥ずかしさで沸騰しそうな私を、呆れたように見下ろしてた目に、また色気が宿る。
意地悪く斜めに歪んだ唇から、ちらっと舌を出して。
翔「…まだ足んねーなら、次は舌でも入れとく？」
囁いた唇が、また近づいてくる。
……無理っっっ。
この状況でもう1回されたら、私の心臓本当に止まるっ。
「だめっ」
翔「……」
やっとの思いでそれだけ言って、先生の胸を押し返したら、
ふっと止まった先生が、「あっそ」って呟いて身体が離れた。
……なんなの。この生きるか死ぬかのサバイバルゲームのような展開。
奈緒「もう信じらんないっ」
翔「は？なにが？」
奈緒「人の車の中でキスとか…」
翔「じゃあ自分の車ん中ならいいの？」
奈緒「っ、そういう意味じゃな」
翔「だってよ、潤」
潤「聞こえてる(笑)」
奈緒「違うってばっ」
ハンドルに両腕を預けて、松本先生が焦る奈緒ちゃん先輩を笑いながら見てる。
翔「お前らもすれば？」
奈緒「はっ!?」
翔「今信号待ちだしチャンスだぞ」
奈緒「しませんっ」
翔「なんで？」
奈緒「なんでって…」
執拗に奈緒ちゃん先輩を煽る先生の目は。
先生が色っぽさを全身に纏った時の、挑発的な目。
翔「いつも俺に遊ばれてばっかなんだから。たまには見せつけてみろよ」
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作者名：あげは
| 作成日時：2016年7月6日 1時
