BT -Black Teacher- 10 *+:S.S:+* (ページ17)

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▼385　Side.Kazunari ページ17

　
翔「で、付き合ってみたらどいつもこいつも暑苦しくって。

雅紀とカズ、潤とはもう何年も会ってないっつってたのに、俺が潤の懲戒免職のことでゲリラライブやってくんない？って頼んだら、間髪入れずに『もちろんっ』ってOKするし。

どんだけお人好しなんだよって、笑ったよね」

潤くんと奈緒ちゃんの為に奔走してた自分のことは棚に上げて、呆れた顔で笑う。

翔「それでも俺は自分の生き方変えるつもりは無かったし、教師辞めるまではつるんで遊ぶのもいいんじゃねーのぐらいに思ってたけど。

……こいつと会って、猪みてーに前しか見てねぇこいつを俺のもんにしたいと思った時に。

お前らのせいで俺も暑苦しいやつになってんだなって、思い知ったんだよ」

「…っ」

瞳を潤ませたAちゃんに、ちらっと優しい目を向ける。

翔「俺は、先生になんも教わってねーけど。

俺とAのことで、お前らが俺に隠れて動いてた時。潤から、お前の欠点はなんでも1人でなんとかしようと思うとこだって言われた時。

俺は教えられたよ。あの人が言ってた、"全力で寄っかかっても、支えてくれるやつもいる"ってのが、本当だったんだってこと」

黙って翔ちゃんを見てる俺たちに、ふんって薄く笑って。

翔「教え子1号～4号に、教えてもらいました」

そう言ったあとで、もう1度墓石を見上げた翔ちゃんが。

俺たちのほうに身体を向けて、真っ直ぐに、俺たちを見た。

翔「ありがと」

簡単そうで、きっと今までの翔ちゃんの生き方じゃすごく難しいはずのその言葉を。

この耳で、しっかりと受け取る。

ねぇせんせー。

やっぱ勝手にいなくなっちゃう先生はダメな人だけど。

その分俺たちが、ちゃんと出来てるみたいだよ？

先生が俺たちに教えてくれたこと。

俺たちはちゃんと、守れてるみたいだよ。

ねぇ、…大野先生。

潤「……ちょっと、俺ら明日死ぬんじゃね？(笑)」

静かに流れてた沈黙を、潤くんのいたずらっ子な笑顔と声が破る。

和「レア過ぎて？(笑)」

潤「うん(笑)」

雅「録音しとけばよかったっ」

笑い合う俺たちに、翔ちゃんが「うるせーな」って不機嫌顔で呟いて。

隣に立ってるAちゃんの頭を、「泣くんじゃねーよ」ってわしゃわしゃしてる。

翔「俺たちはもういいから、次お前らだろ」

翔ちゃんに促されて、潤くんと奈緒ちゃんが、先生の前に立った。
　