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「ねぇ、でもそれじゃ寒くない？」
智「ん、だいじょぶ。腕振り回して描いてたから、ちょっとあっちーなって思ってたの」
つなぎになってる紺色のニッカポッカの下は、たぶん白いＴシャツ。
寒くないとか、絶対嘘だけど。
いいよって言っても、たぶんこの人は聞かない気がする(だって熊で猿なのにジェントルマン)。
「ありがとう」って言って、素直に座った私を満足げに見下ろして。
智「どっちらへん？」
「え？」
智「靴。どの辺に飛んでったの」
「あ…入口のとこには無かったから、もうちょっと奥かも」
智「どんだけ飛ばしたの(笑)」
また可笑しそうに笑ってから、んーって伸びをする。
智「じゃあちょっと待ってて」
「え？」
智「靴探してくる」
「え、いいよいいよ」
智「酒飲んでから探すのめんどくせーべ」
「じゃあ私が行く」
智「片っぽ裸足で探したら時間かかる」
「でも…」
智「いーから待ってて」
そう言って、ニッカのポケットに両手を突っ込んで走り出す。
「……やっぱりジェントルマン」
焼きサバ定食で。
熊で猿だけど(しつこい上に失礼千万)。
暗がりに消えていく智さんの後ろ姿を見ながら、初めて会った時のことを思い出す。
智さんはいつも、席に座ったら「焼きサバ定食」しか言わないからほとんど話したことなかったけど。
初めて店に来た日のことは、すごく覚えてる。
―― "あの…入ってだいじょぶっすか？"
引き戸から顔を覗かせて、中に入って来ようとしないお客さんに「どうぞー」って近寄ったら。
入口で、ペンキまみれの自分のニッカポッカを見ながら「こんなカッコなんすけど」って、申し訳なさそうな顔して。
「もう乾いてるんで椅子汚したりはないと思うんすけど。もし気になるなら、新聞紙敷いた上に座るんでも大丈夫なんで」って、ばつが悪そうに私を見てた。
たぶん、いつもそうやってお店に気を遣ってるんだろうって思って。
一生懸命仕事した証の格好を、そんな風に言わなきゃいけないなんて。
ペンキ屋さんて、大変なんだ…。
「そのままで大丈夫ですよ」
智「え？」
「お客さんを新聞紙の上になんて座らせられません。うち、そんな綺麗な店でもないんで。気にせず座ってください」
智「……」
「いらっしゃいませ」って笑ったら。
驚いたような顔が、ふにゃっと崩れて。
「ありがと」って、智さんも笑ったんだ。
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いっちゃ(プロフ) - お久しぶりです。フリスタ2020の新しい画風見てこの物語を思い出しました。冒頭の壁の絵、あんな感じ何じゃないかなと。久しぶりにペンキ屋智くんに会いに行ってきます。 (2020年10月13日 22時) (
レス) id: 4f53938499 (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - おーちゃんさん» おーちゃんさーん、お返事遅くなってごめんなさい(T△T) この繋智がお休み中だからね…ペンキ屋智まで出張をありがとうございます(涙)。もちょっとで復活しますのでお待ちを！ (2017年4月26日 16時) (レス) id: bcec075e42 (このIDを非表示/違反報告)
おーちゃん(プロフ) - また来ちゃった！突然ワタシにやってくるペンキ屋智…キュンキュンを堪能させていただきました！やっぱり、あげはさんの智はたまりません！ (2017年4月9日 13時) (レス) id: 7e1932ee25 (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - ともさん» ともさんキミハケへいらっしゃいませー♪ってマジでめっちゃ読んでくれてるんすね…(感涙)。ペンキ屋智は、当時から智坦・他王子坦含めてめちゃくちゃ人気でした(笑)。気にいっていただけて嬉しいです(*´ー｀*) (2016年10月24日 16時) (レス) id: bcec075e42 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 再びこんにちは♪やばっ!智くんカッコ良すぎ(^з^)-☆きゅんきゅん通りすぎてズキンズキンと心臓が痛い(笑)やっぱり智くんが好きだぁ( *´艸`) (2016年10月22日 11時) (レス) id: b4753fc97a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あげは
| 作成日時：2015年11月21日 20時
