☆25 ページ25
智「…なにやってんの」
あの日と同じ紺色のニッカで、驚いたように私を見る。
まんまるに見開かれた瞳が、きらきら光ってて。
「A？」ってまた私を呼ぶ声に、瞼の奥が反応して涙を押し上げる。
「…っ」
智「どした？」
泣かないっ。
泣いたら悲しくなるだけの涙は、流さないっ。
「ちょっとヒマだったから、黄色い壁を見に来ただけ」
智「……」
「智は？どうしたの？」
智「あー…あん時、ここにハケ1本忘れてっちゃったみたいで、探しに来た」
「…そっか」
一瞬、もしかして私と同じ気持ちで来たんじゃないかって期待した心がガラガラと音を立てて崩れて。
それを見透かされないように、無理矢理笑顔を作る。
智「でも、ねーみたい」
壁伝いに歩いて、きょろきょろと足元を見渡しながら呟く。
智「やっぱ事務所かな」
私の前に立って、「座っていい？」って聞く智に頷いたら。
ふにゃっと笑ってから、私の隣に腰を下ろす。
あの日はぴったりくっついてた距離が、今日は少し遠くて。
そんなことにも、胸がズキッと痛んだ。
智「やっぱそっちのがAっぽいな」
「え？」
智「この前より、今日のカッコの方が、Aっぽい」
「あ…」
すっぴんに、ジーパンに、紫色のダウン。
色気も可愛げもない私を、ふふって笑いながら智が見てて。
恥ずかしいのと情けないので、膝の上でぎゅっと拳を握り締めた。
「…女っ気の欠片もないでしょ」
智「ぁん？」
「ちょっと前に流行った干物女だからさー」
智「……」
「それすらももう流行遅れだしね(笑)」
自虐もここまで来たらうっとうしいかな…って思いながらも、なにか言ってないと居たたまれなくて。
へらへらしながら話す私の隣で、じっと黙り込む智。
智「…なんかあった？」
「…っ」
智「まだしんどいの？」
俯いた私の横顔にかかる、優しい声。
智「まぁ…まだ一週間だもんな。そんな簡単に、忘れらんないよな」
不意に伸びた智の手が、私の頭をぽんって叩いて。
それにドキっとして、過剰なほどびくっと震えた私に気付くと、すぐにぱっと離れた。
智「……もうあんなことしねーから、平気だよ」
「え？」
智「そんなにびくってしなくても。もう、あん時みたいなことはしねーから」
「……」
地面を見つめたまま、ふって笑った智が。
「ごめんね」って、呟いた。
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いっちゃ(プロフ) - お久しぶりです。フリスタ2020の新しい画風見てこの物語を思い出しました。冒頭の壁の絵、あんな感じ何じゃないかなと。久しぶりにペンキ屋智くんに会いに行ってきます。 (2020年10月13日 22時) (
レス) id: 4f53938499 (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - おーちゃんさん» おーちゃんさーん、お返事遅くなってごめんなさい(T△T) この繋智がお休み中だからね…ペンキ屋智まで出張をありがとうございます(涙)。もちょっとで復活しますのでお待ちを！ (2017年4月26日 16時) (レス) id: bcec075e42 (このIDを非表示/違反報告)
おーちゃん(プロフ) - また来ちゃった！突然ワタシにやってくるペンキ屋智…キュンキュンを堪能させていただきました！やっぱり、あげはさんの智はたまりません！ (2017年4月9日 13時) (レス) id: 7e1932ee25 (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - ともさん» ともさんキミハケへいらっしゃいませー♪ってマジでめっちゃ読んでくれてるんすね…(感涙)。ペンキ屋智は、当時から智坦・他王子坦含めてめちゃくちゃ人気でした(笑)。気にいっていただけて嬉しいです(*´ー｀*) (2016年10月24日 16時) (レス) id: bcec075e42 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 再びこんにちは♪やばっ!智くんカッコ良すぎ(^з^)-☆きゅんきゅん通りすぎてズキンズキンと心臓が痛い(笑)やっぱり智くんが好きだぁ( *´艸`) (2016年10月22日 11時) (レス) id: b4753fc97a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あげは
| 作成日時：2015年11月21日 20時
