☆24 11/24-2 ページ24
あれから、一週間。
思い出さないどころか、日が経つにつれて壊れたビデオはさらに性能を悪化させて。
寝ても覚めてもあの顔ばかり映す。
でもあの日以降、智が店に来ることはなくって。
ずっと、逢えずにいる。
「現場が六本木だって言ってたもんね…」
連絡先も交換してない私たちに、逢う手立てなんてなくて。
でも店で逢えるって思ってたし。
そもそもこんなに逢いたいと思うなんて…思ってなかったし。
「なんか、私1人バカみたいだなぁ…」
店から家までの帰り道。
11月ももう残りあと少しの夜の風は、自転車に乗ってると余計に冷たくて。
ダウンの襟に首を埋めるようにしてペダルを漕ぐ。
もうすぐ取り壊しだって言ってたあの工事現場は、一週間経ってもまだそのままそこにあって。
いつもは俯いて通り過ぎるだけの入口の前で、自転車を止めた。
「まだあるよね…」
薄暗い廃墟の前を通って、あの日と同じように建物の脇に向かう。
一面真っ黄色に塗り潰された壁が目の前に現れて。
それを見ただけで、きゅぅぅぅって心臓が音を立てて縮む。
石造りのブロックに腰掛けて、あの夜と同じように目の前の壁を見上げてみるけど。
今は、私の横には誰もいない。
一週間風雨にさらされて、蛍光感が薄くなった壁はなんとなくもの悲しくて。
誰からも忘れ去られて廃れていくその寂しさが、
今の自分みたいだなぁって、ぼんやりと思う。
あの日の朝、何事もなかったかのように家を出て行った智。
きっと智は、婚約破棄されてヤケ酒飲んでる可哀想な女を慰めてくれただけで。
あの日のことは、それ以上でも以下でもない。
「ごめん」って囁いた声も。
ベッドの上で、私の名前を呼んだ掠れた声も。
あの日あの瞬間だけ、智が私にくれたもの。
―― "やっぱ、しらふで見てもかわいーよそのスウェット"
「…っ」
耳の内側に張り付いたままの声に、息が詰まって。
前屈みになって、ぎゅっと閉じた膝におでこをくっつける。
「なんでこんなに……好きになっちゃったんだろう」
心ではとっくに気付いていた言葉を、初めて口にして。
口にしたら、その言葉の虚しさが身体中を埋め尽くして。
膝に押し当てた瞼が、じんわりと熱を帯びる。
智「…A？」
耳の内側で思い出すだけだった声が。
外側から、突然私の耳を撫でた。
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いっちゃ(プロフ) - お久しぶりです。フリスタ2020の新しい画風見てこの物語を思い出しました。冒頭の壁の絵、あんな感じ何じゃないかなと。久しぶりにペンキ屋智くんに会いに行ってきます。 (2020年10月13日 22時) (
レス) id: 4f53938499 (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - おーちゃんさん» おーちゃんさーん、お返事遅くなってごめんなさい(T△T) この繋智がお休み中だからね…ペンキ屋智まで出張をありがとうございます(涙)。もちょっとで復活しますのでお待ちを！ (2017年4月26日 16時) (レス) id: bcec075e42 (このIDを非表示/違反報告)
おーちゃん(プロフ) - また来ちゃった！突然ワタシにやってくるペンキ屋智…キュンキュンを堪能させていただきました！やっぱり、あげはさんの智はたまりません！ (2017年4月9日 13時) (レス) id: 7e1932ee25 (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - ともさん» ともさんキミハケへいらっしゃいませー♪ってマジでめっちゃ読んでくれてるんすね…(感涙)。ペンキ屋智は、当時から智坦・他王子坦含めてめちゃくちゃ人気でした(笑)。気にいっていただけて嬉しいです(*´ー｀*) (2016年10月24日 16時) (レス) id: bcec075e42 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 再びこんにちは♪やばっ!智くんカッコ良すぎ(^з^)-☆きゅんきゅん通りすぎてズキンズキンと心臓が痛い(笑)やっぱり智くんが好きだぁ( *´艸`) (2016年10月22日 11時) (レス) id: b4753fc97a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あげは
| 作成日時：2015年11月21日 20時
