◆96 Side.You ページ30
？「こんにちは。今日はお1人じゃないんですね」
聞き慣れた声に振り向いたら、このお寺のご住職が柔らかな笑顔でこちらを見てた。
「ご住職、こんにちは」
住職「今月は良いお天気で、良かったですね。先月は、確か雨でした」
「…はい」
先生がここに来てからの6年間、毎月のようにお会いしてるご住職とはもう顔見知りで。
最初の頃、泣いて泣いてなかなかお墓を離れられない私を、いつも優しい顔で見守ってくれた。
今も、泣きだしそうな私をふわっと包んでくれるような。
6年間ずっと、変わらない笑顔。
住職「こちらのお墓は、本当に色んな方がいらっしゃって。いつもお花が、絶えませんね」
微笑ましそうに潤くんと奈緒さんを見て、会釈する2人に笑顔を返す。
住職「先ほども1人、いらっしゃっていましたよ」
「…あ」
住職「金色の髪の……二宮さん、でしたか？」
潤「あ、これカズさんなんだ」
潤くんが、少し驚いたようにお供え物に目を向ける。
あの秋桜を見た時。
なんとなく、そうじゃないかと思った。
カズなんじゃないかって、思った。
住職「朝早くにいらして、ずいぶん長い時間そこに座っておられました。声をお掛けしようと思ったら、故人様となにかお話されていたようで」
さっきまでそこにいた姿を思い起こすように、穏やかな目で石段を見つめて。
住職「 『守ってやってよ』…『まだ、連れて行かないでね』 と、呟かれていました」
「…っ」
住職「どなたか大切な方が、いらっしゃるんでしょうね」
言葉を無くした私に得心した顔でそう言って、優しく微笑む。
その優しい声に、堪えていた涙が一斉に溢れ出して。
それを見た潤くんの手が、私の肩にそっと触れた。
潤「大切な人がいるのは、カズさんだけ？」
足元の砂を鳴らしながら、触れた肩を優しくさする。
潤「Aさんには。本当に先生しか、大切な人はいないの？」
―― "…お前自身が忘れられない男と、お前のことが忘れられない男。今、Aの頭ん中に浮かんだのは、どっち？"
潤くんの声を追いかけるように、また櫻井くんの声がして。
涙で熱を持った頭が、耳の奥にその声を呼び起こす。
―― "好きだよ"
あの時、組伏せられたベッドの上で私の頭の中に浮かんだのは、間違いなく。
そう言って私を抱き締めた。
カズだった。
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あげは(プロフ) - レイ。さん» この章の絵を渡される場面が、跳べシリーズの中で一番キツいところだと私は思ってて。そこからみんなに支えられて気持ちに気付くまでが、AIで私が伝えたかったことでした。色んなことを感じていただけてすごく嬉しいです。BTまであと少しですよっ!!(笑) (2016年8月21日 23時) (
レス) id: 02b4f5b3a5 (このIDを非表示/違反報告)
レイ。(プロフ) - もう最高過ぎて最高過ぎて。読む手が止まりません！おまけもすごく良かったです！続き読んできたいと思います！ (2016年8月21日 18時) (レス) id: 525ab02d23 (このIDを非表示/違反報告)
レイ。(プロフ) - いつまでも忘れられない主人公ちゃんが可哀想だなって思いつつも皆で助けてあげようとする姿に胸が打たれて泣きそうになったりもう泣いたり心ん中がほっこりしたりと感情が豊かに動きまくってます笑 不器用ながらも大切な事に気付かせようとしてくれてる櫻井先生も良い (2016年8月21日 18時) (レス) id: 525ab02d23 (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - ゆゆさん» なんかかっこよかったので全然気にしないで下さい(笑)。AIは、私の長編の中でも特に苦しいお話なので、泣かせてばかりでごめんなさい(ノ_＜。) 現在編からBTへ。またこれからも、跳べメンバーをよろしくお願いしますっ(*´∇｀*) (2016年2月21日 0時) (レス) id: 02b4f5b3a5 (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - ゆゆさん» ゆゆさん、初めまして。コメントありがとうございますっ!! 私のお話を見つけていただいて、ありがとうございました(*´ー｀*) そしてもう…キミ花も跳べもまぁ長くて苦しいことの多いお話なのに、そんな風に言っていただけて感激です(T△T) "あげはの世界"って (2016年2月21日 0時) (レス) id: 02b4f5b3a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あげは
| 作成日時：2015年11月1日 0時
