◆94 Side.You 11/12 ページ28
潤「Aさんっ！」
改札口で、もう見慣れた景色を見るともなく見ていたところに掛けられた声に振り返ると。
見慣れない黒縁眼鏡を掛けた、モデルさんみたいな潤くんが手を振りながら歩いて来る。
その隣には、頭1つ大きい潤くんの横顔を眩しそうに見つめながら微笑む、奈緒さん。
潤「ごめんね、待った？」
「ううん、大丈夫。…奈緒さん、ひさしぶり」
奈緒「杉崎先生、おひさしぶりです！」
潤「こいつがこれ買うのにうだうだ悩むから時間掛かっちゃって」
奈緒「なっ、先生が『お前のセンスが試される』とか言うからじゃんっ」
潤くんに、「痛ってぇよ(笑)」って言われながらその肩をばんばん叩く奈緒さんのもう片方の手の中にあるのは。
鮮やかな紫色の、フリージアの花束。
「2人とも、来てくれてありがとう」
潤「なに言ってんの。奈緒連れて来るの遅くなっちゃって、こっちこそごめん」
奈緒「前に杉崎先生に逢いに来てねって言ってもらってから、ずっと来たくて…」
「…うん、ありがとう」
潤「じゃあ行こっか、歩いてすぐだから」
奈緒「うん」
潤くんが先に立って、寄り添うようにその横を歩く奈緒さん。
少し後ろから眺める2人の姿は、本当に幸せそうで。
この2人がこうやって一緒にいられることが本当に嬉しくて。
胸がじんわり温かくなって、自然と頬が緩む。
潤「天気良くて、よかったね」
「うん」
奈緒「電車の中、お日さまの光がぽかぽかで眠くなっちゃいそうだった」
潤「よだれ垂らして寝てたけど？」
奈緒「えっ!?」
潤「…嘘だよ(笑)」
奈緒「先生っ」
「(笑)」
私もこんな風に、先生と言い合ったことがあることをふっと思い出して。
私の心臓は、もう条件反射のようにぎゅぅっと縮む。
それでも、2人を見ていても悲しい気持ちにならないのは。
きっと先生も、この2人の姿を笑って見ているから。
幸せそうな2人を見て、きっと幸せそうな顔を、しているから。
―― "お前の好きになった男って、自分の女の幸せも願えねーほどちっちぇ男なの？"
そう言って私を見下ろした、感情の見えない瞳が脳裏に甦って。
それでも、櫻井くんが乱暴に伝えようとしてくれたその言葉の意味を想う。
ねぇ先生。先生はそこで。
今も私の幸せを、願ってくれていますか？
歩きながら空を見上げたら、「ここだよ」って、潤くんの声がした。
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あげは(プロフ) - レイ。さん» この章の絵を渡される場面が、跳べシリーズの中で一番キツいところだと私は思ってて。そこからみんなに支えられて気持ちに気付くまでが、AIで私が伝えたかったことでした。色んなことを感じていただけてすごく嬉しいです。BTまであと少しですよっ!!(笑) (2016年8月21日 23時) (
レス) id: 02b4f5b3a5 (このIDを非表示/違反報告)
レイ。(プロフ) - もう最高過ぎて最高過ぎて。読む手が止まりません！おまけもすごく良かったです！続き読んできたいと思います！ (2016年8月21日 18時) (レス) id: 525ab02d23 (このIDを非表示/違反報告)
レイ。(プロフ) - いつまでも忘れられない主人公ちゃんが可哀想だなって思いつつも皆で助けてあげようとする姿に胸が打たれて泣きそうになったりもう泣いたり心ん中がほっこりしたりと感情が豊かに動きまくってます笑 不器用ながらも大切な事に気付かせようとしてくれてる櫻井先生も良い (2016年8月21日 18時) (レス) id: 525ab02d23 (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - ゆゆさん» なんかかっこよかったので全然気にしないで下さい(笑)。AIは、私の長編の中でも特に苦しいお話なので、泣かせてばかりでごめんなさい(ノ_＜。) 現在編からBTへ。またこれからも、跳べメンバーをよろしくお願いしますっ(*´∇｀*) (2016年2月21日 0時) (レス) id: 02b4f5b3a5 (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - ゆゆさん» ゆゆさん、初めまして。コメントありがとうございますっ!! 私のお話を見つけていただいて、ありがとうございました(*´ー｀*) そしてもう…キミ花も跳べもまぁ長くて苦しいことの多いお話なのに、そんな風に言っていただけて感激です(T△T) "あげはの世界"って (2016年2月21日 0時) (レス) id: 02b4f5b3a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あげは
| 作成日時：2015年11月1日 0時
