◆78 Side.You(11/3追加) ページ12
潤くんが保健室を出て行ってからどれくらい経ったのかも。
どうやってここに来たのかも、よく覚えてない。
気が付いたら、私はクラス棟の屋上に立っていて。
暗い空の下で、いつも1人で見つめてた本棟を見下ろしてた。
そこにはもう、先生はいないのに。
いつも明るかった美術室は、真っ暗なのに。
「幸せになろうねって、言ったじゃない」
もう何度となく口にした言葉をまた呟いて。
溢れ出る涙が、温度を無くしながら頬を伝って首筋へと流れる。
「帰りたくない時は、ここにおいでって。ここを居場所にすればいいよって、言ったくせに」
何年経ったって。
先生の声が耳から離れることなんてないの。
前に進もうとしたって。
私はすぐに、囚われてしまう。
先生の、木漏れ日みたいな笑顔に。
私を抱き締める、強い腕に。
瞳を輝かせて、絵筆を握る猫背の横顔に。
すぐに捕まって、また立ち止まってしまう。
「どうして1人で行っちゃうの。…どうして、連れて行ってくれないの」
どうして私を。
1人にするの。
「『君を愛す』なら。最後までちゃんと、そばにいてよ」
いつまで経っても忘れられないなら。
もう…私も一緒に、連れて行って。
？「Aっ」
ドアが開く音と一緒に聞こえた声。
一瞬、どこから聞こえてるのかわからなくて。
縛られたように見つめてた真っ暗な美術室の方へ、一歩踏み出した。
和「っ、ちょっと」
ぐいっと腕を掴まれて。
倒れ込むように胸にぶつかった身体が、強い力で抱き留められる。
和「…今度は、間違ってないでしょ？」
すぐ耳の上で響く、息を弾ませたカズの声。
和「…飛び降りようと、してたんでしょ」
「…っ」
和「バカじゃないの」
「カズ…」
和「10年前より体力落ちてんだから…走らせるんじゃないよ」
頬に伝わる、カズの鼓動。
「…っ、もう嫌なの…もう、カズ」
和「…ん」
「もう…無理…っ」
頑張ろうとしたけど。
1人で歩けるようになりたいって、思ったけど。
先生のいないところに。
やっぱり私の居場所なんて、ないんだよ。
泣きじゃくる私を、ぎゅうっと抱き締めて。
カズの金色の髪が、私の首筋に垂れて揺れる。
和「じゃあ…一緒に死ぬ？」
真っ暗な闇の中に、カズの掠れた声がした。
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あげは(プロフ) - レイ。さん» この章の絵を渡される場面が、跳べシリーズの中で一番キツいところだと私は思ってて。そこからみんなに支えられて気持ちに気付くまでが、AIで私が伝えたかったことでした。色んなことを感じていただけてすごく嬉しいです。BTまであと少しですよっ!!(笑) (2016年8月21日 23時) (
レス) id: 02b4f5b3a5 (このIDを非表示/違反報告)
レイ。(プロフ) - もう最高過ぎて最高過ぎて。読む手が止まりません！おまけもすごく良かったです！続き読んできたいと思います！ (2016年8月21日 18時) (レス) id: 525ab02d23 (このIDを非表示/違反報告)
レイ。(プロフ) - いつまでも忘れられない主人公ちゃんが可哀想だなって思いつつも皆で助けてあげようとする姿に胸が打たれて泣きそうになったりもう泣いたり心ん中がほっこりしたりと感情が豊かに動きまくってます笑 不器用ながらも大切な事に気付かせようとしてくれてる櫻井先生も良い (2016年8月21日 18時) (レス) id: 525ab02d23 (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - ゆゆさん» なんかかっこよかったので全然気にしないで下さい(笑)。AIは、私の長編の中でも特に苦しいお話なので、泣かせてばかりでごめんなさい(ノ_＜。) 現在編からBTへ。またこれからも、跳べメンバーをよろしくお願いしますっ(*´∇｀*) (2016年2月21日 0時) (レス) id: 02b4f5b3a5 (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - ゆゆさん» ゆゆさん、初めまして。コメントありがとうございますっ!! 私のお話を見つけていただいて、ありがとうございました(*´ー｀*) そしてもう…キミ花も跳べもまぁ長くて苦しいことの多いお話なのに、そんな風に言っていただけて感激です(T△T) "あげはの世界"って (2016年2月21日 0時) (レス) id: 02b4f5b3a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あげは
| 作成日時：2015年11月1日 0時
