◆77 Side.You ページ11
風呂敷包みを胸に抱きかかえて。
頭の中が真っ白になったまま、ふらふらと応接室を出た。
今少し前に見たものが。
今私の腕の中にあるものが。
私の心を、6年前に引き戻す。
こんなにも、簡単に。
こんなにも、あっさりと。
？「Aさん？」
保健室の入口で呼び止められて。
振り返ったら、心配そうな顔でこっちに歩いて来る。
潤「…大丈夫？なんかあった？」
「……」
潤「教頭先生に、なんか言われた？」
「……」
潤「…Aさん？その持ってる」
「…っ」
2人で保健室に入ったところで、堰を切ったように涙が溢れて来て。
「ちょっ、どうしたの!?」っていう潤くんの声が、まるで水の中にいるみたいにぼんやりと響く。
「せんせ、が…」
潤「え？」
「…っ」
それ以上言葉が出なくて、持ってた風呂敷包みを潤くんの胸に押し付けた。
訳が分からないままそれを開いた潤くんが、その絵を見て「あっ」って小さく声をあげる。
潤「Aさん…」
「ど、して…」
潤「……」
やっと、前に進めると思ったのに。
思い出しても苦しくならないようにしようって潤くんに言われて。
そうだねって、思ったのに。
どうしてこんなに簡単に、私を連れ戻してしまうの。
たった1枚の絵で。
どうして私の心を、また先生だけでいっぱいにしてしまうの。
ふらっと揺れた身体を、潤くんが咄嗟に支えようとして。
私の肩に伸びた手が、一瞬躊躇うようにぴくっと止まった。
「あ…」
潤「…っ」
「ごめっ…」
潤「いや…」
伸ばした手を引っ込めて。
身を引いた私を、潤くんの切ないほど真っ直ぐな瞳が捉える。
潤「カズさんに連絡したら？」
「…っ」
潤「苦しくならないようにって言ったけど、それでも苦しい時は、我慢する必要ないでしょ？…カズさん、呼びなよ」
「…大丈夫」
潤「大丈夫じゃねーだろ。…とりあえず、座って」
足元の覚束ない私を椅子に座らせて、また心配そうな顔で私の顔を覗き込む。
潤「誰にも寄り掛からないでいるのって、そんなに大事？」
「……」
潤「1人で泣いてるの見て…先生、喜ぶかな」
「…っ」
潤「今までだってずっと、カズさ」
「いいのっ」
潤「Aさん」
「本当に、もういいから。大丈夫だから…出て行って」
潤「……」
「1人にして」
ごめんね、潤くん。
ごめんね。
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あげは(プロフ) - レイ。さん» この章の絵を渡される場面が、跳べシリーズの中で一番キツいところだと私は思ってて。そこからみんなに支えられて気持ちに気付くまでが、AIで私が伝えたかったことでした。色んなことを感じていただけてすごく嬉しいです。BTまであと少しですよっ!!(笑) (2016年8月21日 23時) (
レス) id: 02b4f5b3a5 (このIDを非表示/違反報告)
レイ。(プロフ) - もう最高過ぎて最高過ぎて。読む手が止まりません！おまけもすごく良かったです！続き読んできたいと思います！ (2016年8月21日 18時) (レス) id: 525ab02d23 (このIDを非表示/違反報告)
レイ。(プロフ) - いつまでも忘れられない主人公ちゃんが可哀想だなって思いつつも皆で助けてあげようとする姿に胸が打たれて泣きそうになったりもう泣いたり心ん中がほっこりしたりと感情が豊かに動きまくってます笑 不器用ながらも大切な事に気付かせようとしてくれてる櫻井先生も良い (2016年8月21日 18時) (レス) id: 525ab02d23 (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - ゆゆさん» なんかかっこよかったので全然気にしないで下さい(笑)。AIは、私の長編の中でも特に苦しいお話なので、泣かせてばかりでごめんなさい(ノ_＜。) 現在編からBTへ。またこれからも、跳べメンバーをよろしくお願いしますっ(*´∇｀*) (2016年2月21日 0時) (レス) id: 02b4f5b3a5 (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - ゆゆさん» ゆゆさん、初めまして。コメントありがとうございますっ!! 私のお話を見つけていただいて、ありがとうございました(*´ー｀*) そしてもう…キミ花も跳べもまぁ長くて苦しいことの多いお話なのに、そんな風に言っていただけて感激です(T△T) "あげはの世界"って (2016年2月21日 0時) (レス) id: 02b4f5b3a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あげは
| 作成日時：2015年11月1日 0時
