◇201 ページ21
潤「あ」
「なぁに？」
潤「そこのクローゼット、開けて？」
先生が、私の背後を顎で指して体を離す。
「ここ？」
潤「そう」
シーツを体に巻きつけて、ベッドを降りてクローゼットを開けた。
「あ…」
潤「うん」
真ん中に置かれたキャビネットの上に。
大切そうに1つだけ飾ってある、スケッチブックくらいの油絵。
そこには、今よりちょっと幼くて。
今よりもっとやんちゃな顔で笑ってる先生。
無数に伸びる線と、それを束ねるように浮かぶ光。
―― "好きなよーに、生きればいーじゃん？これから、なんだって出来んだから。潤の先には、まだいっぱい道があんだから。急いで決めなくたって、いーんだよ"
右隅に、小さく描かれた"S.O" の文字。
やっと逢えたその絵は、本当に綺麗で。
想いが、詰まってて。
「逢わせてくれてありがとう」
高校生の先生と。
先生の大切な先生に。
潤「裏返してみて？」
「え？」
潤「その絵、裏返して」
言われるまま裏返したら。
そこには、お手本みたいに綺麗な字で書かれた、メッセージ。
――
君と、君の愛するものすべてが
君と、君の愛するものの未来が
いつだって、なんだって、素晴らしくあるように
――
「…っ」
聞いたことがないのに。
その柔らかい声が、聞こえる気がして。
胸の前のシーツを、ぎゅっと握り締めた。
潤「おいで」
ベッドに座った先生が、私の腕を引いて抱き寄せる。
先生の胸に背中を預けて、頬をぴったりくっつけて。
いつの間にか窓の外で輝き始めた金色の朝焼けと、いっぱいの愛に包まれて。
強く抱き締められたこの腕の中に、いられる幸せを想う。
潤「A？」
「…っ」
潤「…また泣くの？」
「……いいの」
潤「ん？」
「今は、いいの」
潤「……ん」
潤「ねぇ」
「うん？」
潤「俺も、泣いていい？」
「………いいよ」
先生の潤んだ目が、静かに降りてきて。
音もなく、重なり合う唇。
潤「愛してる」
―― "……愛してる"
重なり合って、生きて行こうね。
想い合って、生きて行こうね。
それが、私たちの。
変わらない、"To-Be"。
―― "明日の放課後、英語科準備室でね。佐藤Aさん"
*END*
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あげは(プロフ) - 翠さん» 翠さん、冬眠していてお返事が遅くなり申し訳ありません(土下座)。嵐さん、このお話に出てくるキャラ以上にみなさんかっこいいので！(笑)、少しでもかっこよさが伝わっていたら嬉しいです。こちらこそ、素敵なコメントありがとうございました。 (10月11日 20時) (
レス) id: bee9bda467 (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - noriさん» noriさん、コメントありがとうございます。そしてジャニーズ沼にようこそ！笑最新作以外はどれも7年以上前のお話になってしまいますが、嵐さんはいつでもただただかっこいいので(笑)、お楽しみいただけたら嬉しいです(*´꒳｀*) (10月11日 20時) (レス) id: bee9bda467 (このIDを非表示/違反報告)
nori(プロフ) - 最近ジャニーズにハマって読んだのですがもう8年前って知ってすごくびっくりしました！笑すっかりあげはファミリーになっちゃいました笑今から他のあげはさんの作品も読ませていただきます！素敵なお話書いてくださってありがとうございました♡ (10月9日 20時) (レス) @page48 id: 415de435f6 (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - もう何年も前のお話ですが、読ませていただきました。すごく感情移入してしまい、何回か泣いちゃいました笑嵐さん、あんまり詳しく知らなかったので、すごく新鮮で面白かったです。このコメントがあげはさんへ届くか分かりませんが、素敵なお話をありがとうございました (2023年4月4日 2時) (レス) @page22 id: d02dc8e74e (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - もちこ。さん» もちこ。さん、お返事遅くなってすみません(´；ω；`) この長くて切なさ満載のお話を一気読みしていただいて･･･ありがとうございます(T^T)感涙 私も、松本先生に出逢っていただけて幸せです。だいすきをありがとうございます(*´ω｀*) (2018年1月2日 1時) (レス) id: 86ed2291ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あげは
| 作成日時：2015年9月13日 23時
