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大騒ぎの夜も、10時を回ったら静まり返る。
龍斗と優斗を見送り、騒ぎ疲れて寝た飛貴は放置し、片付ける直樹と雄登の会話だけが、小さく聞こえる。
ベランダの風を浴びていた奏の元へ、優希はそっと寄り添った。
「今日は本当に楽しかった。
世界に、俺ほど幸せな奴はいないって、そう思えるくらい、幸せだった」
「よかった。そう言ってもらえて」
優希は、東京の夜景を眺める。
無限に広がる、宝石のような光たち。1粒1粒に、それぞれの人生がある。
「……優希、ありがとう。優希のお陰で、自分は自分だって思えるようになったんだと思う」
奏は照れくさそうにそっぽを向いた。
目を見られないところが、やはり彼らしい。
優希は、しばらく考えて、部屋から、鳥の形をした青い風船を一つ取ってきた。
羽の部分を手で隠す。
「ある日、翼の無い鳥に、羽根が生えた」
優希の手の下から、羽が現れた。
「けれど、その鳥は飛ばなかったんだ」
「勿体無いね」
奏は、優希が言わんとしていることを分かっているようだった。
「そう。勿体無いね」
優希は、手から紐を離す。
夜空の中、青い鳥は飛んでいく。
「僕は翼を使ってみせるよ」
優希はふんわり、微笑んだ。
.
燕、それは幸せを運ぶ鳥。
燕ではなくなった今、自分で自分の幸せを探しに、いつでも、どこへでも、この翼で行ける。
奏と優希は、空高く舞い上がる風船を、いつまでも、いつまでも眺めていた。
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おわり
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LIKKA(プロフ) - わたがしさん» お返事遅くなり本当に申し訳ありません!ありがとうございます(TT) (2017年8月14日 9時) (レス) id: 101efce4a6 (このIDを非表示/違反報告)
わたがし - これからも頑張ってください!応援してます! (2017年7月24日 22時) (レス) id: 35ef0e40d0 (このIDを非表示/違反報告)
LIKKA(プロフ) - わたがしさん» 迷惑なんてとんでもないです。本当に嬉しいです。ありがとうございます!(><) (2017年7月24日 21時) (レス) id: 101efce4a6 (このIDを非表示/違反報告)
わたがし - 初めまして!すごく感動して、最後辺りでボロ泣きしてしまいました。完結してから読んでいるのでコメント出すのご迷惑かな?と思ったのですが、感動し過ぎて書いてしまいました…。 (2017年7月22日 22時) (レス) id: 35ef0e40d0 (このIDを非表示/違反報告)
LIKKA(プロフ) - しぃかさん» しぃかさん!またコメントくださるなんてとっても嬉しいです(o>ω<o)作間くんわたしも大好きです(TT) 本当にありがとうございました! (2017年5月30日 18時) (レス) id: 101efce4a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:LIKKA | 作成日時:2017年5月6日 20時