検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:48,370 hit

31 ページ32

大騒ぎの夜も、10時を回ったら静まり返る。





龍斗と優斗を見送り、騒ぎ疲れて寝た飛貴は放置し、片付ける直樹と雄登の会話だけが、小さく聞こえる。




ベランダの風を浴びていた奏の元へ、優希はそっと寄り添った。





「今日は本当に楽しかった。

世界に、俺ほど幸せな奴はいないって、そう思えるくらい、幸せだった」





「よかった。そう言ってもらえて」







優希は、東京の夜景を眺める。


無限に広がる、宝石のような光たち。1粒1粒に、それぞれの人生がある。




「……優希、ありがとう。優希のお陰で、自分は自分だって思えるようになったんだと思う」




奏は照れくさそうにそっぽを向いた。


目を見られないところが、やはり彼らしい。



優希は、しばらく考えて、部屋から、鳥の形をした青い風船を一つ取ってきた。





羽の部分を手で隠す。




「ある日、翼の無い鳥に、羽根が生えた」




優希の手の下から、羽が現れた。





「けれど、その鳥は飛ばなかったんだ」



「勿体無いね」



奏は、優希が言わんとしていることを分かっているようだった。



「そう。勿体無いね」





優希は、手から紐を離す。


夜空の中、青い鳥は飛んでいく。






「僕は翼を使ってみせるよ」


優希はふんわり、微笑んだ。







.






燕、それは幸せを運ぶ鳥。



燕ではなくなった今、自分で自分の幸せを探しに、いつでも、どこへでも、この翼で行ける。







奏と優希は、空高く舞い上がる風船を、いつまでも、いつまでも眺めていた。









.









.







.









.






おわり

作者より→←30



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (114 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
144人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

LIKKA(プロフ) - わたがしさん» お返事遅くなり本当に申し訳ありません!ありがとうございます(TT) (2017年8月14日 9時) (レス) id: 101efce4a6 (このIDを非表示/違反報告)
わたがし - これからも頑張ってください!応援してます! (2017年7月24日 22時) (レス) id: 35ef0e40d0 (このIDを非表示/違反報告)
LIKKA(プロフ) - わたがしさん» 迷惑なんてとんでもないです。本当に嬉しいです。ありがとうございます!(><) (2017年7月24日 21時) (レス) id: 101efce4a6 (このIDを非表示/違反報告)
わたがし - 初めまして!すごく感動して、最後辺りでボロ泣きしてしまいました。完結してから読んでいるのでコメント出すのご迷惑かな?と思ったのですが、感動し過ぎて書いてしまいました…。 (2017年7月22日 22時) (レス) id: 35ef0e40d0 (このIDを非表示/違反報告)
LIKKA(プロフ) - しぃかさん» しぃかさん!またコメントくださるなんてとっても嬉しいです(o>ω<o)作間くんわたしも大好きです(TT) 本当にありがとうございました! (2017年5月30日 18時) (レス) id: 101efce4a6 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:LIKKA | 作成日時:2017年5月6日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。