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宿泊学習から帰っても、依然、優希が朝に絶望することは無かった。
起きたら、前と何も変わらない、だだっ広い部屋に、静かに流れる滝に、無気力に動き出す街が優希を待っている。けれど寂しくはない。
今日は奏と直樹と勉強する予定で家に呼んだ。
奏は数学演習の時に優希のことが嫌いではないと教えてくれたけど、よく分からない。
入学式の時雄登が言っていた通り、とっつきにくい。
だが、少しずつ距離が縮まっていることは感じていた。
「これ1人で住んでんのー？」
「うん」
「寂しいね。俺んちも同じくらいだけど、一応ペットいるし…なんか飼ったらー？」
「あー…うーん。でも僕、いつ捨てられるか分かんないし。そしたら飼えないよ」
ヘビーな話題をぶっ込んだ優希に戸惑った直樹の代わりに、奏が口を開いた。
「大丈夫だよ。優希は近いうちに養子になるだろうし」
優希は驚いて、飲んでいたカルピスを吹き出した。直樹が拭ってくれる。
「そんな訳ないじゃん…！」
「いや、ある。
…あの人はね、ちょっとおかしいよ。
まず本妻との間に男子が出来なくて、愛人を作って、隠し子産ませて、そいつが思ってたよりバカだったから、養子を探したんだ。
優希は割と出来るっぽいじゃん、近いうちに養子になれるよ」
奏は淡々と言う。
後を継ぐため生まれたのに、その候補から外れたことに悲しみとか、喪失感は無いらしい。
「まあまあ、その話はいいじゃん！
ワンちゃんってかわいいよ」
「うーん…そうだねえ…」
優希はしばらく考えたが、いいや、と微笑んだ。
「ペットにペットは要らないだろ」
その時、部屋のインターフォンが鳴った。
予告も無しに訪ねてくるのはただ1人である。
「清岡さん…」
思わず、奏を見た。
出たら？という目をして、彼と直樹はリビングルームを出ていく。
確かに、出ないという選択肢は無いのだが。
「はい…」
「久しぶりだね。開けてくれる？」
「あ、はい…」
優希には、清岡のすること、全てを拒むことは許されない。
彼は従順な燕が欲しくて、優希はなにか大きな力に引っ張られていたくて、その利害はずっと一致していた、今までは。
「俺らどっか行ってるよ」
奏と直樹が玄関のドアを開ける。
「待って、今出たら…」
そこには、もう、清岡がいた。
「……奏じゃないか」
「父さん…」
それは実に三年ぶりの再会だった。
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LIKKA(プロフ) - わたがしさん» お返事遅くなり本当に申し訳ありません！ありがとうございます(TT) (2017年8月14日 9時) (
レス) id: 101efce4a6 (このIDを非表示/違反報告)
わたがし - これからも頑張ってください！応援してます！ (2017年7月24日 22時) (レス) id: 35ef0e40d0 (このIDを非表示/違反報告)
LIKKA(プロフ) - わたがしさん» 迷惑なんてとんでもないです。本当に嬉しいです。ありがとうございます！(><) (2017年7月24日 21時) (レス) id: 101efce4a6 (このIDを非表示/違反報告)
わたがし - 初めまして！すごく感動して、最後辺りでボロ泣きしてしまいました。完結してから読んでいるのでコメント出すのご迷惑かな？と思ったのですが、感動し過ぎて書いてしまいました…。 (2017年7月22日 22時) (レス) id: 35ef0e40d0 (このIDを非表示/違反報告)
LIKKA(プロフ) - しぃかさん» しぃかさん！またコメントくださるなんてとっても嬉しいです(o>ω<o)作間くんわたしも大好きです(TT) 本当にありがとうございました！ (2017年5月30日 18時) (レス) id: 101efce4a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：LIKKA
| 作成日時：2017年5月6日 20時
