25 ページ26
2階のベランダで座り込んでいた飛貴を見つけた龍斗は、そばにいってしゃがんだ。
雄登は少し離れて見守る。
「作間」
「飛貴くん、へいき？」
「うん！ヘーキ」
飛貴はニカッと笑った。下では、優斗たちが教師に捕まっている。
「ヘーキ、こんなん、なんでもないよ、もう慣れた」
うわごとのように繰り返す。龍斗は飛貴の頭を撫でた。
「へいきじゃないでしょ？」
「へ？」
「中二の時、親に負けないって、飛貴くんが教えてくれたんだよ。
僕も学校がんばって行って、今回参加していいって言われるまで説得したんだよ」
「そうだね、そうだ、作間は強い」
飛貴は虚ろな目で龍斗を見た。
「…でも俺は弱い。
中学生の時は、親父がこの国を良くするって、本気で信じてたんだけどさ。もう信じらんないよ。
それに、この国は民主主義で、C組も同じ、マイノリティーは潰す」
C組はさながら、国会の縮図である。
大臣レベルの祖父や父親を持つ生徒には我儘を言う権利があり、親の所属党で固まる。
かつては党の長である父を持ち、好き放題生きていた飛貴も、手のひら返しのようなイジメで、C組の面々と深く付き合うのはやめた。
「もうこんな学校辞めてえな……」
苦笑いで本音をこぼした飛貴に、龍斗はイヤイヤと首を振った。
「だめ、だめ」
「作間は俺よりずーっと、ずっと強いよ。
それに、お前には優斗もいるじゃん。大丈夫」
龍斗は言葉に詰まった。
「…俺が許さない！！」
隠れていた雄登が飛び出て来たのは、その時だった。
飛貴はびっくりして雄登を見ている。龍斗も連れてきていたことを忘れていたので、ハッと振り向いた。
「俺はこのままお前が辞めたら負けで終わることになる！
そんなん許せねー。
絶対勝ってやるし、一生勝ってやる！
俺も大学受験はしない。しないで、お前と大学入っても勝負し続ける！」
ぽかんと雄登の言うことを聞いていた飛貴は、堪えていた涙を流した。
「低能な奴らの言うことに負けんじゃねーよ。
藤井も作間も和田もいるじゃん………あとは、俺も」
龍斗は、薄く微笑んで「プロポーズみたい」と言い放った。
「ぷ、ぷろっ…！？」
雄登が狼狽える。
「プロポーズなんかじゃねー！辞めんな！バーカ！」
「は！？辞めねーよクソ！」
「やめてよぉ…」
龍斗が笑いながら頭を抱えた。
「お前らーーー！！何やってんだーーーー！」
教師の怒号が飛んできて、３人の背筋は凍った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 144人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
LIKKA(プロフ) - わたがしさん» お返事遅くなり本当に申し訳ありません！ありがとうございます(TT) (2017年8月14日 9時) (
レス) id: 101efce4a6 (このIDを非表示/違反報告)
わたがし - これからも頑張ってください！応援してます！ (2017年7月24日 22時) (レス) id: 35ef0e40d0 (このIDを非表示/違反報告)
LIKKA(プロフ) - わたがしさん» 迷惑なんてとんでもないです。本当に嬉しいです。ありがとうございます！(><) (2017年7月24日 21時) (レス) id: 101efce4a6 (このIDを非表示/違反報告)
わたがし - 初めまして！すごく感動して、最後辺りでボロ泣きしてしまいました。完結してから読んでいるのでコメント出すのご迷惑かな？と思ったのですが、感動し過ぎて書いてしまいました…。 (2017年7月22日 22時) (レス) id: 35ef0e40d0 (このIDを非表示/違反報告)
LIKKA(プロフ) - しぃかさん» しぃかさん！またコメントくださるなんてとっても嬉しいです(o>ω<o)作間くんわたしも大好きです(TT) 本当にありがとうございました！ (2017年5月30日 18時) (レス) id: 101efce4a6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：LIKKA
| 作成日時：2017年5月6日 20時
