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ぱちぱち、ぱちぱち、と暖炉の音と、びゅうびゅう、と外で風が強く吹きつけている音だけが耳に入る。
なんとなく、わかり始めていた。
学校で、みんなの話を聞いていて、私だけ違うんだって思っていた。
送った手紙が、返ってきたこともなかった。
私が、お母様とお父様に、愛されていないかもしれないことは、少し前から気づいていたことだ。
いつの間にか、きりやんにぎゅっと強く抱き締められていた。それから気づいた。
自分が、泣いていることに。
「親の代わりになるなんて、言わないよ。だって、俺はAの親じゃないから。けど、……その分の愛は、幸せは、俺、あげられるから。俺も、そうだったから」
ぼろぼろと涙が零れる。そして、更に、更に強く、抱き締められる。
「…ねぇ、俺たち、革命しても、良い？」
きっと、私がここでダメだと言っても、彼らは決行するのだと思う。だって、これまでずっと、きっと努力してきたのだろう。それを、たった数ヶ月の付き合いの、たった1人の私が変えることなんてできない。
けど、きりやんは、やさしい人、なのだ。
「うん、いいよ。…その代わり、私も、連れて行って」
「え！？！？」
「そ、それは駄目！！！！」ときりやんは大声で叫ぶ。あまりの慌てように笑ってから、冗談だよ、と返すと、きりやんはあからさまにほっとした表情をした。
「きんとき、いや全員に何言われるかたまったもんじゃねぇ」とぼそりと呟いたのを聞いて、また笑ってしまう。
「…頑張ってね。応援、してる」
「……おう！」
きりやんは立ち上がって、玄関の方へ行く。私が「黒衣！」と言うと、きりやんは笑った。
「替え、大量にあるから、それあげる」
「えっ」
「いいよ。むしろ、持ってて」
絶対、成功させてくるから。
きりやんはそう言ってにかっと笑う。
「決行日、いつなの？」
「ん？あー、17日」
「…わかった」
私がそう言うと、きりやんはずいと顔を近づけてくる。
「……やめろよ？」
「大丈夫だってば。朝早いんだよね」
「最早深夜だけどな。16の夜から」
「そっか」
外に出た瞬間、さみぃ、ときりやんは零す。また黒衣を渡そうとすると、良いの！と言われた。
「……じゃあ、また。A」
「うん。…じゃあね、きりやん」
彼の背中を、見えなくなっても、ずっと、ずっと見つめていた。
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空羽(プロフ) - ねこ娘さん» 初めまして。私は今回が初めての企画でして不安だらけだったのですが、参加者の方々に助けられながらなんとか完成できたものなので、こうしてコメントで伝えて頂いて本当に嬉しいですし、企画して良かったと心から思いました…。読んで頂きありがとうございました！ (2021年9月3日 15時) (
レス) id: d2cb5de424 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ娘(プロフ) - はじめまして。まず感謝をお伝えしたいです、素敵なお話をありがとうございました…泣 皆様の作り出すお話、メンバーと作者様の個性に溢れていて一筋縄ではいかない展開に終始胸を打たれて唸っていました。タイトル回収も鳥肌立ちました、ごちそうさまでした… (2021年8月31日 9時) (レス) id: 5a39984025 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：3人の文字書き | 作成日時：2021年1月16日 10時
