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少しどきどきしながら、そっと真っ白な雪に手を伸ばした。最後に雪に触れたのは確か、一昨年だった気がする。
ちょん、と指でつついてみて、今度は思い切って両手で雪を掴んだ。もう触らないと決めていたのに、案外しょうもないことであっさり触ってしまった。当然雪はとても冷たくて、手の皮膚が痛かった。
雪を両手で掬っては固め、ぺたぺたと球体を作っていく。大人になってからやってみると、これまた意外と楽しい。
指輪のこととか、彼への反抗心とか、全部そっちのけで夢中になって積もった雪を手で集めた。
どうせなら大きな雪だるまにしよう。きんときのマフラー、雪だるまに勝手に巻いちゃおうかな。いい長さの木の枝は落ちてるかな。何日くらい持つのかな。
まるで子供のように遊び始めた私は、一人できゃっきゃとはしゃいだ。
｢なっ……！何してんのA！！｣
雪だるまの体の球体が、両手でなんとか持てるくらいの大きさになった時だった。
後ろから声がして、しゃがんだまま振り返った。そこには青ざめた表情の彼が居て、買い物袋が地面に落ちてしまっていた。
｢おかえりなさい、きんとき｣
｢おかえりなさいじゃないよ！なんで外に居るの！？｣
｢えー、だって｣
｢だってじゃないよ！あぁもう、触っちゃダメって昨日も言ったのに！｣
ぴしゃりと怒られて、しゅんと肩を落とした。
彼は駆け寄るなり冷たくなった私の手を取って、体温を分けてくれた。じわじわと温まって、私の両手は少しずつ色を取り戻していく。
｢ほら、早く家入ろう？ちゃんとお湯で温めなきゃ｣
｢でも、でもね、まだ雪だるまの体しか出来てないの。頭がないとただの雪玉だよ｣
｢分かった、分かったから！あとは俺が作るから、それでいい？｣
｢えぇ〜……｣
唇を尖らせていると、彼は自分が身につけていた手袋を外して私に渡した。
外で一緒に見ていてもいいんだと察し、ぱっと笑顔になる。しゃがみこんでニコニコしていると、更に彼の着ていた上着まで肩に掛けられてしまった。
彼は見ているこっちが寒くなるような格好で、雪をかき集め始めた。
｢なんで雪だるま作ろうなんて思ったの？そんなに暇させちゃった？｣
｢ん？そうね……きんときが忘れ物してたから、かな｣
｢忘れ物？｣
上着に埋もれたパジャマの右ポケットに手を入れて、彼の忘れ物を取り出した。
きらりと反射した銀色を見た彼は、ぎょっとして手を止めた。
｢いやね、買い物行くから外していったのかなって思って｣
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空羽(プロフ) - ねこ娘さん» 初めまして。私は今回が初めての企画でして不安だらけだったのですが、参加者の方々に助けられながらなんとか完成できたものなので、こうしてコメントで伝えて頂いて本当に嬉しいですし、企画して良かったと心から思いました…。読んで頂きありがとうございました！ (2021年9月3日 15時) (
レス) id: d2cb5de424 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ娘(プロフ) - はじめまして。まず感謝をお伝えしたいです、素敵なお話をありがとうございました…泣 皆様の作り出すお話、メンバーと作者様の個性に溢れていて一筋縄ではいかない展開に終始胸を打たれて唸っていました。タイトル回収も鳥肌立ちました、ごちそうさまでした… (2021年8月31日 9時) (レス) id: 5a39984025 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：3人の文字書き | 作成日時：2021年1月16日 10時
