【шτ】君は全部、忘れてる【赤】 (ページ6)

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11/23(火) ページ6

昨日は大学の講義が終わった後、ぶるっくの家で遊んでいた。

私のことを忘れていた、ということも忘れていたけど、話すと思い出したようで、何度も謝ってくれた。

今日は私もぶるっくも二コマ目から入っている日だったから、私の家で待ち合わせをする、という約束もした。

はずだ。

約束の時間になっても、ぶるっくは来ないどころか、連絡一つ無い。これ以上遅くなったら、私が遅刻してしまう。

昨日のことが頭をよぎる。いや、ぶるっくのことだから、普通に寝坊だって有り得る。

そうでなかったら。

今になって、昨日のなかむくんの表情が思い出される。

そんな訳ない、だって、もう、思い出したじゃないか。

否定したい気持ちと、不安が混ざり合う。

急ぎ足で大学に向かい、チャイムぎりぎりで教室に入る。誰かの隣に座ると、声を掛けられた。

「おはよ、朝井さん」

「きんときくん。…おはよう」

「珍しいね。寝坊とか、しなさそうなのに」

「うん。…寝坊は、してない」

きんときくんは、私の含みのある返しが気に留まったのか、不思議そうな顔をする。

「どうしたの？」

「…ぶるっくと、待ち合わせしてたんだけど、来なくて」

「え？」

私の言葉に、きんときくんは素っ頓狂な声を上げた。慌てて口を塞ぎ、もう一度小さく口を開く。

「さっき、ぶるっく、いたけど」

私の嫌な予感は当たっていた、のかもしれない。

いたよね？ときんときくんは振り返る。きんときくんの隣には、なかむくんが座っていたらしい。
なかむくんは、いたね、と険しい顔をして言った。

「…あとで行ってみよう」

きんときくんの言葉に、なかむくんが静かに頷く。

あぁ、また講義に集中できない。