【шτ】君は全部、忘れてる【赤】 (ページ21)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:10,347 hit

▽ ページ21

よく友人と集まる時に使うファミレス。

彼らも一緒に来ることはあるが、彼らに私一人だけが混ざっているのも珍しい。

ぶるっくはというと、道中では私にずっとくっついていた。

「…で、結局は思い出したんだね？」

「そう」

「ほら、俺の言う通りだったじゃん！」

「…確かに。すまん、なかむ」

「ねぇ、僕は覚えてないんだけど、もしかしなくてもめっちゃ迷惑かけた？」

「…」

「何か言ってよ！」

私たちが顔を見合わせているのが逆に怖かったらしい。ぶるっくは声を上げた。

「とにかく、そういうことだったんだよ」

「…うん。ごめん、みんな。ごめん、A」

「ううん。思い出してくれただけで、」

そう言いながら、本当に思い出したんだという喜びが溢れてきて、涙が頬を伝う。

みんないるのに、と思ったけれど、それは止まらなかった。

「…ほんとに、ごめんね」

「う、ん」

私たちを見て、他の五人は顔を見合わせ、また明後日、と去っていった。聞こえてきた内容からして、きりやんの家で遊んでいくらしい。

「ぶるっく、いいの？」

「うん。今日は、Aと一緒がいい」

今日一日は、離してくれそうにない。誕生日プレゼントを買いに行くのは明日にしよう。

ぎゅっと手を繋ぎ、帰り道を歩いた。