【шτ】君は全部、忘れてる【赤】 (ページ19)

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11/27(土) ページ19

今日は大学の講義が無いため、ぶるっくの家に行ける人達で行くことになっていた。

きりやんが行く時に家に寄ってくれる、とのことで、そろそろ準備をしなければならないな、と立ち上がった時、インターホンが鳴る。

きりやんが来るにはまだ早い時間だ。驚いて、誰だろうかとカメラを覗いた。

「え」

その光景が信じられなくて、そのままそこに突っ立っていると、もう一度インターホンが鳴った。

そこにいたのは、紛れもないぶるっくだった。

走ってきたのか、息が上がっていて、肩を上げ下げしている。

震える手で受話器に手を伸ばし、耳に当てた。

「A、Aだよね！？いるの！？」

「う、うん。いるよ」

「良か、った………」

ぶるっくの切羽詰まった声に、答えた声が震えた。

なんで、そんなことを聞く必要があるのだろうか。
ぶるっくはというと、気が抜けたようで、へにゃりと笑っている。

「とにかく、開けるね」

「…うん、ありがと」

ぶるっくが私のことを覚えていることへの安堵と、ぶるっくの様子がおかしいことへの不安が混じり合う。

一体何があったんだろうか。

…それでも、なかむくんの言ってたことは、正しかったらしい。

「ぶるっく、どうし、」

玄関の扉を開けて、ぶるっくを招き入れようとしたところで、ぼふんと彼に強く抱きしめられる。

これまでで一番、と言っても過言ではないくらい、その力は強くて。

「…ぶるっく？」

「……」

問いかけても返事は無い。

とりあえずぶるっくが落ち着くまで待とう。

そう思って、ゆっくりとぶるっくの大きな背中に手を回した。