11/22(月) ページ1
微かに目覚まし時計の音が聞こえて、目が覚めた。今日は一コマ目から講義を取っていたことを思い出し、まだ眠気の残る体にムチを打って布団から抜け出す。
顔を洗って、食パンをトースターに入れてから、服を着替える。
洗面所の鏡の前で髪をすかしていたら、キッチンの方からチンという音がした。身だしなみもそこそこに、パンをトースターから取り出してジャムを塗る。
いただきます、と手を合わせてから齧り付いた。
いつもの変わらないルーティーン。
「行ってきまーす」
家に誰かがいる訳でもない。
でも、家には神様がいるから、挨拶はちゃんとしないといけないよと両親から教わってきた。
大学までは徒歩だ。時たま、友人と会うこともある。今日はそういう日だった。
「よっ」
「きりやん。おはよう」
「今日は一コマ目から取ってる日か」
幼馴染の彼は、そう言いながら乗っていた自転車を降り、私の隣に並ぶ。
「今日はぶるっくと一緒じゃないの」
「ぶるっくが一コマ目から取ると思う?」
「ないね。今日は二コマ目からだっけ?」
「うん」
何度目かの会話をしながら、大学に向かう。
ぶるっくは彼の友達で、私の彼氏だ。次のクリスマスで、付き合って三年が経とうとしていた。
その前に、あと一週間でぶるっくの誕生日なのだけど。
何をプレゼントしようか、なんて考えていると、きりやんの私を呼ぶ声に気づかなかった。
またぶるっくのこと考えてたんだろ、とにやにやしながら言われ、何も言い返せない。図星だ。
なんとなく見上げた空は、妙に明るく、そして白く感じた。
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