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病気を患っていたお母様の容態は、段々と悪化していった。けれど、私は毎日のように丘へ向かった。
彼にまた会ったのは、二週間後のこと。
「「…あ」」
お互いに姿を見つけた瞬間、声が重なる。彼はまずい、という風な顔をしたけれど、そのまま去っていくなんてことはしなかった。
「二週間ぶり、だね」
「…そうだね」
彼は頷きながら、私から少し離れた所に座る。この前は気づかなかったけれど、顔色が悪い。身体も細い。
ふと、お母様の姿と重なった。
「…私のお母様、病気で寝込んでるんだ。最近、ずっと」
思わず、私がそう零すと、彼はなんとも言えない表情をした。そして、ゆっくりと口を開く。
「お母様の傍に居てあげなよ」
「え？」
彼の言葉に驚いて、私はそちらを見た。彼は、遠い空を見ていた。
「人がいつ死ぬかなんて、わかんないから」
彼の静かな、全てをわかっているような言葉に、私はただ頷くしか無かった。
次の日から、私はお母様の傍にずっといた。
たくさんお話をした。これまでずっと黙っていた、彼のことも。お母様は私の話を楽しそうに、笑顔で聞いていた。
それから三週間後、お母様は亡くなった。
彼のことを話した、二日後だった。
涙は出なかった。何故かわからなかったけれど、出なかった。ただ、今は彼に会いたいと思った。
お父様の目を盗んで訪れた丘の向日葵は、完全に枯れていた。寂しさを感じながらも、丘を登る。
丘の上には、彼がいた。顔を膝にうずめ、その膝をぎゅっと抱いている。
「久しぶりだね」
「…うん」
私の足音に気づいたらしい彼は、その顔を上げた。酷くやつれていて、思わず返事が遅れる。
「…俺の友達が、もう、ダメそうなんだ」
顔を歪めて、まるで自嘲するかのように笑って言った彼の腕を、私は気づいたら引っ張って走っていた。
「ちょ、ちょっと！？」
「…だれよ」
「え、」
「そばに、いて、あげなよって、言ったのは、どこの、だれよ！！」
大通りに出て、大人がこちらを振り返るのも構わず、家に向かって走る。
視界が滲んだ。足が痛い。体が熱い。それでも、走るのはやめなかった。
秘密の道を通って、屋敷に入る。中はがらんどうで、今日はお父様が用事だったのを思い出す。
「こっち」
息を落ち着かせて、薬がたくさんあった所へ彼を導く。お母様のための薬を運ぶメイドに、手伝いのために何度もついて行った私が、忘れていない訳がなかった。
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空羽(プロフ) - 霧華さん» 実はこの間、雷が鳴った時にこのお話を思いついたんです笑ほっこりして頂けて良かったです！ただでさえこんなご時世なのに、天気が悪いと更に気が滅入ってしまいますよね…こちらこそいつも読んで下さりありがとうございます！マイペース更新ですが気長にお待ち下さい。 (2020年4月20日 13時) (
レス) id: 295f716bc6 (このIDを非表示/違反報告)
霧華 - 最近天気荒れてること多くて怖かったので雷のお話見てほっこりしました…！素敵なお話いつもありがとうございます！！無理せず更新頑張ってください(*´ `) (2020年4月20日 10時) (レス) id: daf330d400 (このIDを非表示/違反報告)
空羽(プロフ) - みあさん» みあさんありがとうございます！マイペースに更新していきますので、気長に待っていて下さると嬉しいです。よろしくお願いします！ (2020年3月12日 19時) (レス) id: 295f716bc6 (このIDを非表示/違反報告)
みあ - 続編おめでとうございます！これからも更新楽しみにしています(*^-^*) (2020年3月12日 14時) (レス) id: 6bfd7b5c61 (このIDを非表示/違反報告)
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