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その日から三日、呆気なく戦争は幕を閉じた。
俺が、独断で敵地に乗り込んで、王の首を取ったから。
…らしい。
あの日きりやんに試したことが、どこかの場面で上手くいかなかった、そのことだけは覚えている。
「馬鹿じゃないの」
このセリフを聞くのは、一体何度目だろうか。
涙で顔がぐちゃぐちゃになったなかむから、
目が真っ赤になったぶるっくから、
やつれた顔をしたきんときから、
普段と何も変わらないように見えるスマイルから、
隈の酷いきりやんから、
そして今、顔の見えないAから。
「ねぇしゃけ、こっち見てよ」
「やだよ」
だって見たら、多分、多分、認めてしまうだろ。
窓の外から目を離さないまま、俺はそう言った。
「しゃけ、私があの日言ったこと、覚えてる？」
「覚えてねぇよ」
あれが最後だったなんて、思いたくない。
「今が、大事なんだよ」
そこで目が覚めた。
記憶と意識が混濁する。多分、俺はこれまで何度も起きているし、アイツらに馬鹿じゃないのと言われたのは間違いない。
窓から差し込むのは朝日だろうか。細く小さく弱く、なのに眩しい。ここからじゃ、空は見えない。
俺は何かに弾かれたようにベッドから飛び出した。と言っても、本当に飛び出せた訳じゃない。
右足を引きずって、壁伝いに、動く左手でなんとか体を支えながら、机に突っ伏して眠るきりやんを横目に医務室を出る。
ゆっくり、ゆっくり、階段を上る。医務室は一階で、Aの部屋は三階で。
すぐに息が上がる。何度も転けそうになる。部屋に入って、整理整頓された机の上のある物を手に取って、壁に貼られた写真に目を見張る。気持ちを奮い立たせて、またゆっくり、階段を下りて。
「…ッ！？」
踏み外した段と回る視界。右手に持ったそれだけでも守ろうと、不格好な体制のまま、落下、
しなかった。ぐっと掴まれた左手。その先には、ぶるっくの姿があった。ぶるっくは、静かにこちらを見つめている。
ぶるっくの部下も、誰も死ななかった。
ぶるっくに支えられながら階段を下りる。何一つ、言葉は交わしていない。
Aと最期に話した場所に着いた時には、太陽はほとんど昇りきっていた。最早、朝日ですらない。いつもよりちょっとだけ早い朝の、ただの、何の変哲もない空。
「綺麗だね」
ポツリ、ぶるっくが呟いた。
俺は何も言わずに、震える左手でシャッターを切る。
満足気なAの姿が頭をよぎって、やっと、彼女の言葉の意味を理解できた気がした。
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空羽(プロフ) - 霧華さん» 実はこの間、雷が鳴った時にこのお話を思いついたんです笑ほっこりして頂けて良かったです！ただでさえこんなご時世なのに、天気が悪いと更に気が滅入ってしまいますよね…こちらこそいつも読んで下さりありがとうございます！マイペース更新ですが気長にお待ち下さい。 (2020年4月20日 13時) (
レス) id: 295f716bc6 (このIDを非表示/違反報告)
霧華 - 最近天気荒れてること多くて怖かったので雷のお話見てほっこりしました…！素敵なお話いつもありがとうございます！！無理せず更新頑張ってください(*´ `) (2020年4月20日 10時) (レス) id: daf330d400 (このIDを非表示/違反報告)
空羽(プロフ) - みあさん» みあさんありがとうございます！マイペースに更新していきますので、気長に待っていて下さると嬉しいです。よろしくお願いします！ (2020年3月12日 19時) (レス) id: 295f716bc6 (このIDを非表示/違反報告)
みあ - 続編おめでとうございます！これからも更新楽しみにしています(*^-^*) (2020年3月12日 14時) (レス) id: 6bfd7b5c61 (このIDを非表示/違反報告)
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