Dangerous Gamble - 橙 青 -

Down ((11)) ページ11

橙




.





やっぱり無理だ



集中なんて出来るわけなかった

そこまで俺のキャパは大きくなかった





こんなに仕事が憂鬱だったのは、初めてに近い






愛しの彼女は、思ったよりも




愛しいままだったから






.






店員「はぁ…もう上がっていいよ」





俺らのテンションがこんなに下がるのは、


仕事を始めてから、一切無かった







與「…なあ、にっしー。」





西「…あいつのとこ」






店を出た瞬間、目が合って、以心伝心の様にして、

全く同じことを考えていた






選択は１つ



Aの店に行くだけ






俺らの顔は、さっきと比べ物にならないほどに、





雄の顔になっていた






.







女物の香水の匂いと、




酒の匂いが交わって、むせ返りそうになる






そんな店内に入って、あの背中を探した








店員「いらっしゃいませ。本日はどの子に致しますか？」


與「No. 1の子。」


店員「すいません、今は少し難しいですね」





当然のようにあいつは忙しいわけで。

そう簡単に会えるとは思ってなかったけども。




與「…店員さん、ちょっとこっち」





店員さんを手招きして、耳打ちをする真司郎




店員「…わかりました。連れてきます。」


與「ほんま？ありがと〜」





何したよ、お前




西「…與さん、何したのあなた」




與「え？権力に物言わせただけやで」






やっぱり可愛い顔して、やることは可愛くない




まあ、会えるならいいか






.






席についてしばらくすると、






「…なんで店に来るかな」





呆れた顔でこっちを見る



この仕事をしている人では珍しく、化粧もナチュラルで、格好もシンプル






へぇ。こんな格好してるんだ





西「今日は俺ら客だから、ほら、相手してよ」





少し嫌そうな反応をするAが面白くて、それに比例して俺の口角は上がる





與「ほら、はよこっち来てや？



俺らのこと、満足させてくれるやろ？」ﾆﾔﾆﾔ






意地悪く笑いながら、Aの手の甲にキスをする


…取られた






「…もお、恥ずかしい」





目を伏せながら、ソファに腰掛ける




西「ん、こっち」




ｸﾞｲ





細いウエストを優しく包んで、こっちに抱き寄せる




與「やだ、こっちがええ」





ｸﾞｲ




負けじとAの腕を引っ張る







「欲張りだなあ、何してほしい？」






悪戯にはにかんで、俺らを誘う





(( シニカルなキスに撃たれたい ))

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