金糸雀の夢 (ページ2)

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良家の娘として育てられた私には姉がいる

私よりも才能に満ち溢れていて美しく、親も他の人も不才な私より姉を愛した

私は鳥かごの中でずっと1人

私の事なんて誰も見向きもしない

でも、彼は違った

彼だけは

“あの人の妹”でなく、1人の人として

私の事をちゃんと見てくれたのだ

いつか、退屈しのぎで庭を散歩していた時

色とりどりの花々をぼんやりを見つめていたら

『花がお好きなんですか？』

と、彼に話しかけられたのが私達のはじまり

彼は庭師の見習いとしてたまに家に来ていたのだ

ふわふわの栗毛に白い肌

くりっとしたヘーゼル色の目をした少年は

名前を聞くと恥ずかしそうに頭をかいて

ハンソルですと名乗った

それから、私達は彼の休憩の時間にこっそりとあって話をした

誰にも見つからない、裏庭のテラスで

楽しそうに話す彼は、私よりも沢山の世界を知っていて

自由に大空を飛ぶ鳥のようだった

私とは違う

でも彼と話していると、私も鳥かごから出れたような気分になれる

私と彼が恋に落ちるのに時間はかからなかった

それどころか、月日が経つごとに

好きという気持ち
は私の中でどんどんと膨れ上がっていくばかりだ

なのに

たまに、ハンソルは私を見るときに切なげな顔になる

それは何故かと聞いたら

彼はゆっくりと口を開いて呟くように言った

『貴方は気付いてないかもしれませんが、

私といる時に寂しそうな顔をするんです。

一緒にいるのにまるで独りぼっちの時のような

…私は貴方を愛してます

好きな人の寂しげな顔を見る時ほど辛い事はないです

私が貴方を幸せにする事はできないですか？』

この言葉を聞いた時に驚きを隠せなかった

私はこんなに彼から思われていたなんて

初めての人から愛されれるという感覚で

気付いたら私は涙を流していた