どういうつもり ページ9
「初めまして、クォン…」
「話はAから聞いてます。」
「ごめん!スニョンくんとのメッセージ楽しくてさ。」
さらっと呼び捨てしながら相変わらず冷ややかな視線を送り続けるハニ。
流石にスニョンくんが可哀想で間に入ってしまった。
「一つ下という事はヌナの後輩さんですか?」
「彼氏です。ヌナの。」
突然腕をグイ、と引かれて頭が真っ白になる。
私に向けられた質問に対して私よりも早く答えたハニは、まるでその質問を待っていたかのようだった。
「まぁ後輩も間違ってないけど。」
「っ…ヌナ彼氏いたんですね!?そうとは知らずすいませんでした。」
「いえいえ。」
私が何かを言おうとすれば掴まれた腕にキュッと力が込められて痛い。
恐らく喋るなと言いたいのだろう。
現に話す隙すら与えず全てハニが答えてしまう。
一体何を考えてるのか。
「二人の時間お邪魔して本当にすいませんでした!」
気付けばスニョンくんはこちらに背を向けて走り去っていく。
去り際、見えた横顔が苦しそうだったのは気のせいだろうか。
いや、彼の気持ちを知っているのだから、見えたあの表情は気のせいなんかじゃない。
追いかけたいのに掴まれた腕はまだ私を離してくれなくて、どんどん遠ざかっていくその背中を見つめる事しか出来ないのがもどかしい。
ようやく姿が見えなくなった頃に解放された腕。
ハニを軽く睨みつけると「ほら、暗くなってきたし早く帰るよ。」と、さっきの事は愚か、スニョンくんの存在さえなかったかのように声を掛けてきた。
こちらを見るその瞳に冷たさはもう無く、だけどまるで何も聞くなと言われているような圧を感じて、一度浮かんできた「一体どういうつもりなのか」という疑問は解決されないまま心にモヤモヤを広げながら漂っていた。
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のびた(プロフ) - セブチラブさん» 初めまして!コメントありがとうございます。これからも応援して頂けるような素敵な作品を作れるよう頑張りますので宜しくお願い致します! (2020年4月30日 17時) (レス) id: 184d072e0e (このIDを非表示/違反報告)
セブチラブ - 面白いです!頑張って下さい!私片想い集まれさんの作品を今気に入ってるんですけどこの作品も気に入りました!これからも応援してます! (2020年4月29日 8時) (レス) id: 8caba2652c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のびた | 作成日時:2020年4月28日 3時