下手な演技 ページ7
「ヌナ。」
最近、私を呼ぶハニの声が聞こえる度に一瞬笑顔が引きつってしまう。
けれど鋭い彼が特に何か指摘するわけでもなく、仕事の内容について話しかけてくるのを見ると、まだバレていないと毎回ホッと胸を撫でおろすのだ。
しかし今日はそうはいかないかもしれない。
なんせ今真後ろから聞こえてきた声は間違いなくハニで、しかも声音が明らかに低く怒っているのだ。
ヤバい。嘘をつけない。
今手元にあるのは私のスマホ。
その画面に映るのはブロックしたはずのスニョンくんとのメッセージ。
終わった、私の命ここまでだ。
「は、ハニ…そんな怖い顔してどうしたの？」
「ヌナこそそんなに顔引きつらせてどうしたの。」
「笑顔のつもりかもしれないけど全然笑えてないよ！」
「それヌナが言う？後、俺笑ってるつもりもないし…分かるよね、怒ってるの。」
「はい！分かります！怒ってます！」
「なんで怒ってるかも分かってるよね。」
「あ、、ぅ、、えっと…」
「どういうつもりなの。」
「どうしても言い出せなくて…」
「悪い子に見えないし？」
「そうそう。」
「そうそうじゃない。」
「はい。」
「何かあってからじゃ遅いから言ったのに何これ。俺言ったよね、もう少し危機感持ってって。」
「うん…」
「ハァ…あのさ、世の中には優しい仮面被っていい人のフリする怖い人間もいるの。」
「はい。」
「最近、それも妙な出会い方した男なんて腹の内では何考えてるかなんて分かんない。いい？どんなに信頼してる人でも少しは疑う位の付き合い方をするべき。ヌナは特に。」
「ハニは？」
「は？」
「ハニの事も疑わなくちゃいけないの？」
「え？」
「そんな事ないでしょ？ハニは意地悪だし、失礼な奴だけどいい人だって知ってる。」
「今言った内容8割悪口だけど。」
「でも、そんな人だってすごく優しい心を持ってて、人の心配して、お説教まで「分かった」…」
「分かったからもうそれ以上言わなくていい。」
「スニョンくんは…」
「でも俺はそいつの事全く信用出来ない。」
「そう、だよね。」
「よく知りもしない奴の事頭ごなしに否定して悪いけど、俺がヌナの事本気で心配してるのも分かって。」
「うん、それは十分わかってるよ。ありがとう。」
「それならいいんだけど。」
まだどこか納得のいかない表情を浮かべつつも、私の言葉に多少安心したのだろうかゆっくり肩を落としたハニ。
「強く言ってごめん。」と消えそうな声が耳に届いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 103人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のびた(プロフ) - セブチラブさん» 初めまして！コメントありがとうございます。これからも応援して頂けるような素敵な作品を作れるよう頑張りますので宜しくお願い致します！ (2020年4月30日 17時) (
レス) id: 184d072e0e (このIDを非表示/違反報告)
セブチラブ - 面白いです！頑張って下さい！私片想い集まれさんの作品を今気に入ってるんですけどこの作品も気に入りました！これからも応援してます！ (2020年4月29日 8時) (レス) id: 8caba2652c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：のびた | 作成日時：2020年4月28日 3時
