初めまして、恋人になってください

さようなら幸せ ページ11

理解し難い出来事のあった昨日から一夜明けた。
眩しい朝日とカレンダーは何度見ても今日が平日である事を教える。

どんなに気が重くても私は大人であり社会人だ。
子供のようにお腹が痛いだの、頭が痛いだの仮病を使って休む事は出来ない。

行きたくないと駄々を捏ねる体に鞭を打ち、今日も自分のデスクでパソコンと向き合う。

無意識に吐いてしまうため息は周りにも聞こえていたようで、ついさっき仲のいい同僚に「幸せ逃しまくりだなー」なんて笑われてしまった。

その原因はデスクの上で裏返されたスマートフォンにある。
彼も暇ではないと分かっているものの、つい何度も何度も、酷い時なんて数分おきにトーク画面を開いてしまう。
勿論、既読がついていないからこんなにも重たいため息が出てきてしまうわけで、終業5分前にして5.6回はミスを指摘されている。

幸い大きなミスはないものの、このままではいけないと気を引き締めてパソコンと向き合っているが、どうしても視界に入るスマホが気になって集中できない。

終業チャイムが鳴ると再び大きなため息が口から出た。
ようやく長い一日が終わったという疲労感によるため息だ。

デスクを片付け、帰り支度を終えたところで数時間ぶりにトーク画面を開く。
何度目だろう、いや、今日一のため息が出た。
やっぱり既読はついていない。

なんとなく予想はついていたけれど、なんとなく寂しさを感じてしまう。
明日は既読がついているかもしれない。
そう言い聞かせながら、再び「今ので3年分は逃した」と笑ってくる同僚にうるさいなと言い返して会社を後にした。

続くミス→←情けないな

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