４ ページ40
.
「朝から重い話だけはやめろよ」
「昼ならいいの？」
「昼も夜もするな」
立って待っていたらしいAが椅子に座るようオレに促す。
差し伸べられた手に従って座ると、向かい合わせになるようにAがベッドに腰掛けた。
そう遠くない位置で膝と膝を突き合わせて首を振った。
頭は大分起きてきた気がする。
「ヒョン達とジュナにも話したんだろ？」
「うん」
「上から順番に？ってことは一番下まで呼ぶのか……」
「そうだよ、今日のスニョンは勘が良いね」
「じゃあ話の内容も当ててやるよ。とうとう腰にボルトを入れる覚悟が出来たんだろ」
「そんな覚悟決めてないよ」
「じゃあ肩か背中？最近やったし」
「おかげさまでもう治りました」
「そっか……良かったな」
「ありがとう、スニョン」
そう言って頷くAへ、同じように頷き返す。
うん？
じゃあ、どうしてヒョンやジュニはあんなに深刻そうな顔をしていたんだ……？
さては……Aのやつ……、
驚いたように手を口に当てると、Aが不思議そうな顔をして首をひねる。
「まさか、週刊誌に撮られたんじゃ……」
「ああ……そっちか、さすがにそれは無いよ」
「……ふーん、じゃあAにもとうとう彼女が出来たとか」
「そんな報告メンバーの間でするものなの？」
「いや、普通しないだろ」
「だよね」
「じゃあなんだ、こんな時間に改まって」
「うん」
「ボルトを入れる話でもなく、女の話でもなく、……A、グループから抜けるとか言うんじゃないだろうな」
一瞬チラついた考えを口に出して笑うと、Aが目を伏して、困ったように微笑んだ。
なんでそこで何も言い返さないんだ。早く否定しろよ。
起きてAを見た時からずっと纏わりついてくる、嫌な予感が身体の表面から離れていかない。
いつになっても何の反応もしないAに、オレの笑い声はだんだんと乾いたものになっていく。
早く言えよ、違うって。
「そんなんじゃないよ」って笑う以外、お前は答えを持ち合わせていないはずだろ？
一呼吸置いたAがオレの目を見た。
到底、笑顔になんか見えない顔をしている。
その瞬間に、頭の中でようやくサイレンが鳴り響いた。
聞いちゃいけない話だと気付くのに、どうしてもっと早く気が付かなかったんだろう。
「そうなんだ。スニョン、今日は本当に勘が良いんだね」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1552人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
せの(プロフ) - ありさん» ぜひぜひ！ありがとうございます！頑張ります。 (2019年7月15日 9時) (
レス) id: 350915b2b6 (このIDを非表示/違反報告)
あり(プロフ) - お返事ありがとうございます！二次元にあまり詳しくないものである程度予習をしてから読ませて頂きます！ついに最終章といったところですね！頑張って下さい！！ (2019年7月12日 15時) (レス) id: ab6122f7a0 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - ありさん» ありがとうございます！二次元の方から来たのでご期待に添えるか解りませんがプロフの方にURL張りました。お暇なときにどうぞ (2019年7月10日 19時) (レス) id: ce3e37b412 (このIDを非表示/違反報告)
あり(プロフ) - 今までに無いタイプのお話にリアルな描写がとても好きです!どんな結末を迎えるのか楽しみにしています(’-’*)因みにせのさんのTwitterやホームページはありませんか？(あまりに好きすぎて他のお話があれば読んでみたいのですが...) (2019年7月10日 14時) (レス) id: ab6122f7a0 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - あずささん» ありがとうございます！頑張りますね (2019年7月9日 8時) (レス) id: cda4c47062 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：せの
| 作成日時：2019年6月23日 0時
