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Aはジャケットの内ポケットにその紙を入れ「行こうか」と呟いた。
「お前がこんな風に女の子から声を掛けられるって、他のやつからはよく聞いてたけど……オレは今日初めて見たな」
「ああ、そうかも。リーダーが隣にいる時に話しかけるのってかなりの勇気がいるだろうし」
「オレがいないときは結構こういう事ある？」
「まあ……機会的には多い方なんじゃない？オレの場合はまず会って話さないといけないからね」
「Aはあんなに可愛い子でも連絡取らないのか」
「何をいまさら……」
そう言ってAが呆れたような顔をするから立ち止まってしまった。
角を曲がるとさっきとは違って、広い通路に出てしまったので人の往来がある。
Aがオレの耳に口を寄せ、手で隠しながらこそこそと話し始めた。
「あの子も、他の女の子たちも、オレから連絡が来ると思って渡してるわけじゃないと思うよ。一種の肝試しみたいなもので」
「肝試し……？」
「それに、オレが女の子と連絡を取り始めたら軽く騒ぎになると思う。今まで一人も接触したことが無いから、何かあればすぐ話題に上がっちゃうだろうし」
「待て待て……本当に一人もいないのか」
「ないよ」
「……本当に？」
「そこ疑うところなの？」
「……お前ってある意味不健全だよな」
「そんな事ないよ。異性にはいつも存分に囲まれてる」
当たり前だとでも言うような顔をするAに溜息が出てしまった。
Aの言う異性なんて、そんなのせいぜい会社の人間だろう。
「その割りには連絡先受け取るんだな」
「あの子も言ってたけど、オレは受け取るだけで良いんだよ」
「どうして？」
「例えば、オレが受け取らなかったらあの紙ってどうなってたと思う？」
「うーん……破るか、燃やすかしてゴミ箱」
「オレもそうだと思う。恋心……かどうかは解らないけど、そういう類いの行き先がそこだなんて、いくらなんでも可哀想だろ」
「……それもそうだな」
「あの子がオレに紙一枚渡すのだって、裏には何かしらのストーリーがあったんだろうし」
その紙が入っている胸ポケットをトントンと手のひらで叩き、Aが歩き出す。
近付かせなかったのはAのくせに、何故だか自分が傷ついたような顔をしていた。
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せの(プロフ) - ありさん» ぜひぜひ！ありがとうございます！頑張ります。 (2019年7月15日 9時) (
レス) id: 350915b2b6 (このIDを非表示/違反報告)
あり(プロフ) - お返事ありがとうございます！二次元にあまり詳しくないものである程度予習をしてから読ませて頂きます！ついに最終章といったところですね！頑張って下さい！！ (2019年7月12日 15時) (レス) id: ab6122f7a0 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - ありさん» ありがとうございます！二次元の方から来たのでご期待に添えるか解りませんがプロフの方にURL張りました。お暇なときにどうぞ (2019年7月10日 19時) (レス) id: ce3e37b412 (このIDを非表示/違反報告)
あり(プロフ) - 今までに無いタイプのお話にリアルな描写がとても好きです!どんな結末を迎えるのか楽しみにしています(’-’*)因みにせのさんのTwitterやホームページはありませんか？(あまりに好きすぎて他のお話があれば読んでみたいのですが...) (2019年7月10日 14時) (レス) id: ab6122f7a0 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - あずささん» ありがとうございます！頑張りますね (2019年7月9日 8時) (レス) id: cda4c47062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せの
| 作成日時：2019年6月23日 0時
