スンチョルと恋の話 ページ1
スンチョル視点
「あの、Aさん……！」
Aと一緒にスタジオから控室に戻っていく時、唐突に後ろから女の子の声が聞こえた。
二人で振り向くと、衣装に付いた装飾がジャリと音を立てる。
艶のある長い髪を巻き下ろしたその女の子は、赤い顔で両手をぎゅっと握りしめていた。
ああ、見た事がある。
デビューして一年くらいだったかな。
目鼻立ちの綺麗なその子は、前にカムバの時期が被った時の曲でセンターだったはず。
綺麗なだけの人も、歌やダンスが上手いだけの人も山程いる。
入れ替わりが激しすぎて、何か特筆することがなければ明確になんて覚えていられない。
それでも記憶にあるんだから、目の前の子はきっとそれだけの人物なんだろう。
何でも簡単そうにこなす子だと、モニターを見ながら誰かとそんな事を話していたような記憶がある。
この業界にいると、神様は二物も三物も与えるのだなと感じることはよくあることだ。
恵まれた事務所と環境をプラスされれば、そこには敵がいないようにも見える。
だけど、実際はただの女の子らしい。
Aと目が合うと照れた顔を一瞬だけ逸らし、決心したようにもう一度正面を向いた。
「あの、これ」
一応周りを見渡すけど、近くに人はいなかった。
そういう時を見計らってくれたんだろう。そこだけはありがたい。
オレなんて見えていないような女の子は、震える手で可愛らしい縁取りがされたピンクのメモ用紙をAに差し出してくる。
ああ、なんて古典的なんだ……
そうは思うけど、Aの連絡先自体知っている人も少なければ、特に連絡も取りたがらないので簡単に人から人へ辿る事も出来なかったんだろう。
こうなるのも仕方ない。
普通、どうにかコネを見つけて人伝に連絡を取り合うものだけど、残念な事にこの男はそう簡単にはいかないもんな。
Aが少しだけ眉を下げて微笑む。
口から出てきた言葉は、意外と無慈悲に聞こえた。
「連絡は出来ないと思います」
「……わかってます。受け取ってもらえるだけ、それで充分なので」
「そうですか」
「はい、良かったら」
「ありがとうございます」
あまりにもよそよそしい会話を紡ぎ、オレのことは一応認識していたらしい女の子が目を合わせ、一礼して去っていく。
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せの(プロフ) - ありさん» ぜひぜひ！ありがとうございます！頑張ります。 (2019年7月15日 9時) (
レス) id: 350915b2b6 (このIDを非表示/違反報告)
あり(プロフ) - お返事ありがとうございます！二次元にあまり詳しくないものである程度予習をしてから読ませて頂きます！ついに最終章といったところですね！頑張って下さい！！ (2019年7月12日 15時) (レス) id: ab6122f7a0 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - ありさん» ありがとうございます！二次元の方から来たのでご期待に添えるか解りませんがプロフの方にURL張りました。お暇なときにどうぞ (2019年7月10日 19時) (レス) id: ce3e37b412 (このIDを非表示/違反報告)
あり(プロフ) - 今までに無いタイプのお話にリアルな描写がとても好きです!どんな結末を迎えるのか楽しみにしています(’-’*)因みにせのさんのTwitterやホームページはありませんか？(あまりに好きすぎて他のお話があれば読んでみたいのですが...) (2019年7月10日 14時) (レス) id: ab6122f7a0 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - あずささん» ありがとうございます！頑張りますね (2019年7月9日 8時) (レス) id: cda4c47062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せの
| 作成日時：2019年6月23日 0時
