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「寝れない時はね、いろいろ試すよ。こうやってココア作ったり」
「他には?」
「頭から毛布被ったり、寝つきの良くなる音楽を聴いたり、本を読んだり」
「普通ですね」
「そりゃそうだよ」
「効果は?」
「実はあんまりないんだよね」
Aヒョンが「出来たよ」と、僕にピンクのマグを渡してくる。
「ありがとう」とお礼を言うとヒョンが満足そうな顔をする。
スプーンを水色のマグに入れて、さっきよりも随分と適当に混ぜ始めた。
茶色と白が混ざっていくAヒョンの手元を眺めながら、作ってもらったココアの水面に息を吹きかける。
「それでも寝れないときは?」
「誰か起きてる人がいれば話すし、いなければ映画でも見てるよ」
「へえ、良かったですね」
「なにが?」
Aヒョンがスプーンをシンクに置いて、僕に首を傾げた。
「今日は僕が起きてるから、眠くなるまで付き合ってあげます」
「ディノが?」
「僕が」
「ディノ、眠くないの?」
「ヒョンには内緒にしてたんですけど、ココアを飲むと目が覚めるタイプの人間なんです」
もったいぶって冗談交じりにそう言うと、ヒョンが「今日は珍しいね」と笑ってココアに口をつけた。
「何が珍しいんですか?」
「ディノが一日に何度も嘘をつくのが」
「たまにはいいでしょ?」
「たまにならね」
二人で笑いあっていると、キッチン台に置いてあったヒョンのスマホが震える。
ココアを置いて画面を見た笑顔のAヒョンが、僕にそれを手渡してきた。
画面の先はジュニヒョンとのトーク画面。
今ほど送られてきた画像は、仲が良さそうに写ったジュニヒョンとミョンホヒョンのセルカだった。
「僕達も撮って送りましょうか」
「二人で撮るのはいい案だけど、今日は送らないよ」
「なんで?」
「ちょっとでも休んでほしいから返信はしないようにしてるんだ」
「……ヒョン達があっちにいる時は、まめに連絡取り合ってるんだと思ってた」
「取るのは電話だけ」
「電話かかってきます?」
「ハオからは、たまにね」
そう言ってAヒョンは、本当にジュニヒョンへ返事をしないまま画面を落とす。
いつもはぞんざいな扱いを受けるAヒョンのスマホを見下ろしながら、少し濃いめのココアを一口飲みこんだ。
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せの(プロフ) - 奈子さん» ありがとうございます! (2019年6月23日 0時) (レス) id: 73addbec04 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - いつきさん» ありがとうございます!ページの都合で一旦消したのですが、先程再投稿しました。お時間があるときにでも楽しんでいただけると嬉しいです。 (2019年6月23日 0時) (レス) id: 73addbec04 (このIDを非表示/違反報告)
奈子 - 評価一個じゃ足りないです、、!!!すごく大好きな作品です!! (2019年6月22日 18時) (レス) id: a598e2ddc7 (このIDを非表示/違反報告)
いつき(プロフ) - この小説の雰囲気がとても好きで、投稿されるのを楽しみに待っています。突然なのですが、今日出した続編は削除されてしまったのですか?スンチョルさんとの話はとても面白かったので少し残念です…これからも頑張って下さい! (2019年6月22日 15時) (レス) id: 317f2047c2 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - kinosuke20さん» 評価もコメントもありがとうございました。がんばります! (2019年6月22日 10時) (レス) id: ce3e37b412 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せの | 作成日時:2019年6月6日 10時