スングァンとガイドボーカル ページ28
スングァン視点
ボノニがまたやけに派手な虹色の服を着て玄関にいたから「どこに行くの？」と聞いた。
考える様に斜め上を見上げたボノニが「スングァニ、着替えてきて」と返してくる。
どうしよう、いつもより会話が成立しない。
「なんで？」
「Aのとこ行くから」
「何をしに？」
「だってスングァニが一番Aの歌を上手に歌えるんでしょ？」
「はあ？」
そう言って顔を曲げると、ボノニが大口を開けて快活そうに笑う。
一体なんだと言うんだ。
でもまあ、その通りだ。
ヒョンの歌を一番上手に歌えるのは誰がなんと言おうと僕なので、急いで部屋から上着を取ってくる。
よく解らないけど……というか全然解らないけど、ボノニに着いて行くとイヤホンを半分渡される。
爆音を少し下げてもらって聞けば、音楽と雑音の中にAヒョンの鼻歌が聞こえた。
これは……、
「ボノニ……これ作業中の曲じゃないの？ヒョンが依頼されてるやつ」
「許可は取ったよ、許可っていうか……うーん」
「なに？」
「A、今日あんまり喉の調子よくないって」
「さっきから話に脈絡が無さすぎるけど、それって本当？風邪じゃない？大丈夫かな……」
「うん。で、録音するから」
「録音？何を？」
「この歌のガイドボーカル」
「は？」
ボノニの話にいまいち着いて行けないまま、片方だけ借りたイヤホンからは音楽が流れ続け、とうとうAヒョンの作業室に到着してしまう。
我が家とでも言うようにボノニがノックもしないでずかずかと入りこんでいく。
パソコンと向かい合っていたAヒョンがチェアをくるりと回して僕達を見て、少し驚いたような顔をして壁にかかった時計を見上げた。
「わっ、もうこんな時間」
「……オレはちゃんと五分前に来たのに、Aは準備出来てなかったの？」
「ごめんなさい」
「許しません」
「いつもと立場が逆だね。ついでにもう一つ言っていい？」
「なに？」
「録音室の予約取るの忘れてた」
「も〜……新しい機材入ったからわざわざ録音室使いたいって言ったのAじゃん、何してるの？」
「ごめんなさい」
「早く確認してきて、あっち開いてなかったらここでやるの？」
「うん」
二人の会話なのに英語じゃないのは僕がこの光景を見ているからだろう。
片手を上げたAヒョンが「スングァニ、いらっしゃい」と笑顔を見せた。
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せの(プロフ) - 奈子さん» ありがとうございます！ (2019年6月23日 0時) (
レス) id: 73addbec04 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - いつきさん» ありがとうございます！ページの都合で一旦消したのですが、先程再投稿しました。お時間があるときにでも楽しんでいただけると嬉しいです。 (2019年6月23日 0時) (レス) id: 73addbec04 (このIDを非表示/違反報告)
奈子 - 評価一個じゃ足りないです、、！！！すごく大好きな作品です！！ (2019年6月22日 18時) (レス) id: a598e2ddc7 (このIDを非表示/違反報告)
いつき(プロフ) - この小説の雰囲気がとても好きで、投稿されるのを楽しみに待っています。突然なのですが、今日出した続編は削除されてしまったのですか？スンチョルさんとの話はとても面白かったので少し残念です…これからも頑張って下さい！ (2019年6月22日 15時) (レス) id: 317f2047c2 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - kinosuke20さん» 評価もコメントもありがとうございました。がんばります！ (2019年6月22日 10時) (レス) id: ce3e37b412 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せの
| 作成日時：2019年6月6日 10時
