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「Aもう風呂入った?」
「入ったよ。ハニは今上がったばっかりみたいだね、髪が濡れてる」
「ゆっくりできた?」
「うん、スニョン君のおかげでね」
「ホシに部屋を貸したオレのおかげじゃない?」
「じゃあそういう事にしておくよ。ありがとうございます、さすが天使」
「お礼はいいや、その代わりオレの髪乾かして」
「絶対言うと思った」
そう言って笑ったAは、立ち上がってドライヤーを取りに行く。
ごろごろと寝転ぶと白いシーツに水気が移ってしまった。
「ほら起きて」
「ん」
「オイル付けた?」
「んーん」
「オレのでもいい?」
「ん」
「もう少しだけ寝るのは待ってね」
「ん〜……」
重い身体を起こしてベッドの上にあぐらをかくと、オレの前に立ったAが手にヘアオイルを付けて髪の毛になじませていく。
柑橘系の良い香りがして、つい鼻を鳴らしてしまった。
いつもAから漂う、嗅ぎなれた匂いだ。
目を閉じてされるがままになっていると、生温い風がオレの頭を通り過ぎていく。
ああ、やっぱりダメだな。ホテルにある備え付けのドライヤーって。
風量が優しすぎるせいで、やけに心地良くなってしまうんだから。
「ボノニがね、」
「ん?」
「ハニの長い髪の毛、もう一回くらい見たいなって言ってたよ」
「あー……この前言われた。そんなに良かったの、あれ」
「評判だったじゃん」
「あの時はな」
「もう一回する予定は?」
「……無いって知ってるくせに」
櫛の代わりに、風に流れる髪の毛をAの指が梳かしていく。
昔、オレの髪の毛がまだ長かった頃。
やたらと絡んでくる先輩たちから、いつもオレを守ってくれたのはAだった。
ずっと「中性的」がコンセプトだったし、この容姿も伴って、冗談交じりに口説いてきたり、髪を触られたり、引っ張られたりすることも少なくなかった。
本当は死ぬほど嫌だったけど、新人なら当然顔に出すことすら出来ない。
年下といる時なんて最悪で、いつも「オレはヒョンだから」と余計に我慢しなくちゃいけなかった。
どうしていいか分からずオロオロとする下の子を見て、「なんでこんな目に」と恥ずかしくなる事もあったし、逃げ出したくなることもたくさんあった。
そんな時に、Aは困っているオレをどこにいたって見つけ出し、相手に言い訳を重ねながら手を引いて逃げてくれた。
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せの(プロフ) - 奈子さん» ありがとうございます! (2019年6月23日 0時) (レス) id: 73addbec04 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - いつきさん» ありがとうございます!ページの都合で一旦消したのですが、先程再投稿しました。お時間があるときにでも楽しんでいただけると嬉しいです。 (2019年6月23日 0時) (レス) id: 73addbec04 (このIDを非表示/違反報告)
奈子 - 評価一個じゃ足りないです、、!!!すごく大好きな作品です!! (2019年6月22日 18時) (レス) id: a598e2ddc7 (このIDを非表示/違反報告)
いつき(プロフ) - この小説の雰囲気がとても好きで、投稿されるのを楽しみに待っています。突然なのですが、今日出した続編は削除されてしまったのですか?スンチョルさんとの話はとても面白かったので少し残念です…これからも頑張って下さい! (2019年6月22日 15時) (レス) id: 317f2047c2 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - kinosuke20さん» 評価もコメントもありがとうございました。がんばります! (2019年6月22日 10時) (レス) id: ce3e37b412 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せの | 作成日時:2019年6月6日 10時