検索窓
今日:72 hit、昨日:54 hit、合計:613,198 hit

ページ7

.




「Aもう風呂入った?」

「入ったよ。ハニは今上がったばっかりみたいだね、髪が濡れてる」

「ゆっくりできた?」

「うん、スニョン君のおかげでね」

「ホシに部屋を貸したオレのおかげじゃない?」

「じゃあそういう事にしておくよ。ありがとうございます、さすが天使」

「お礼はいいや、その代わりオレの髪乾かして」

「絶対言うと思った」





そう言って笑ったAは、立ち上がってドライヤーを取りに行く。


ごろごろと寝転ぶと白いシーツに水気が移ってしまった。





「ほら起きて」

「ん」

「オイル付けた?」

「んーん」

「オレのでもいい?」

「ん」

「もう少しだけ寝るのは待ってね」

「ん〜……」





重い身体を起こしてベッドの上にあぐらをかくと、オレの前に立ったAが手にヘアオイルを付けて髪の毛になじませていく。



柑橘系の良い香りがして、つい鼻を鳴らしてしまった。

いつもAから漂う、嗅ぎなれた匂いだ。



目を閉じてされるがままになっていると、生温い風がオレの頭を通り過ぎていく。



ああ、やっぱりダメだな。ホテルにある備え付けのドライヤーって。

風量が優しすぎるせいで、やけに心地良くなってしまうんだから。





「ボノニがね、」

「ん?」

「ハニの長い髪の毛、もう一回くらい見たいなって言ってたよ」

「あー……この前言われた。そんなに良かったの、あれ」

「評判だったじゃん」

「あの時はな」

「もう一回する予定は?」

「……無いって知ってるくせに」





櫛の代わりに、風に流れる髪の毛をAの指が梳かしていく。




昔、オレの髪の毛がまだ長かった頃。

やたらと絡んでくる先輩たちから、いつもオレを守ってくれたのはAだった。



ずっと「中性的」がコンセプトだったし、この容姿も伴って、冗談交じりに口説いてきたり、髪を触られたり、引っ張られたりすることも少なくなかった。

本当は死ぬほど嫌だったけど、新人なら当然顔に出すことすら出来ない。




年下といる時なんて最悪で、いつも「オレはヒョンだから」と余計に我慢しなくちゃいけなかった。


どうしていいか分からずオロオロとする下の子を見て、「なんでこんな目に」と恥ずかしくなる事もあったし、逃げ出したくなることもたくさんあった。



そんな時に、Aは困っているオレをどこにいたって見つけ出し、相手に言い訳を重ねながら手を引いて逃げてくれた。


.

4→←2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (711 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1511人がお気に入り
設定タグ:SEVENTEEN , 男装
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

せの(プロフ) - 奈子さん» ありがとうございます! (2019年6月23日 0時) (レス) id: 73addbec04 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - いつきさん» ありがとうございます!ページの都合で一旦消したのですが、先程再投稿しました。お時間があるときにでも楽しんでいただけると嬉しいです。 (2019年6月23日 0時) (レス) id: 73addbec04 (このIDを非表示/違反報告)
奈子 - 評価一個じゃ足りないです、、!!!すごく大好きな作品です!! (2019年6月22日 18時) (レス) id: a598e2ddc7 (このIDを非表示/違反報告)
いつき(プロフ) - この小説の雰囲気がとても好きで、投稿されるのを楽しみに待っています。突然なのですが、今日出した続編は削除されてしまったのですか?スンチョルさんとの話はとても面白かったので少し残念です…これからも頑張って下さい! (2019年6月22日 15時) (レス) id: 317f2047c2 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - kinosuke20さん» 評価もコメントもありがとうございました。がんばります! (2019年6月22日 10時) (レス) id: ce3e37b412 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:せの | 作成日時:2019年6月6日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。