男装生活とその日常について３ (ページ32)

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それにしても、なんだか辻褄が合わない。

Aが過去の、小さかった頃の自分をここまで良く言う理由は一体なんだろう。

僕の知る限り、Aはそんな性格じゃない。
本質的に、自分の事を過小評価する傾向が人一倍強い。

褒められたところで、正直に取ることもしないような人だ。

混乱しているのかな。

まるでさっきの言い方は、自分じゃなくて他人を追憶しているようにしか聞こえなかった。

「A、」

名前はセーフだよね？と思いながら口にしてみれば、うつむいたAの声に嗚咽に混じって、早口で何か言葉を紡ぐ。

ああ……アウトだったみたい……

僕にはAが何を言ったのか聞きとる事は出来ない。

でもそれが、許しを請うているのではないかと、直感的にそう感じた。

Aは何に謝っているんだろう？

そう尋ねる事は出来なくて、さっきよりずっと丸くなったAの背中を撫でた。

ようやく落ち着きを取り戻したAが、目や鼻をごしごしと拭い「ごめんね、ジュニ」と、無理やり笑顔を作る。

たった今、僕とAの間に一枚、透明の壁が出来たように感じてしまった。

とにかく今はもう何も聞けないなぁ……深く聞く気は元々なかったけれど。

「泣いた事、みんなには内緒にしてくれる？」

「……うん」

「久しぶりにこういう話をしたら、なんだか頭の中がぐちゃぐちゃになっちゃって。ごめんね」

「僕は良いんけど、Aは本当に大丈夫？」

「大丈夫。変な事言っちゃったかも、出来れば忘れてほしいんだけど」

「うーん……」

「まあそれは無理か」

そう言ってAは困ったように笑いながら、もう一度「ごめんね」とつぶやいた。

僕はこの子に一体何が出来るんだろう。

そんな事を思いながら「たまに泣くのは身体に良いんだよ」と出来るだけ綺麗に笑顔を作り出す。

頭の片隅で、決まりが悪そうにするシュアヒョンを手で払い除けた。

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