男装生活とその日常について３ (ページ28)

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三回ノックをしてから、ガチャリと作業室の扉を開ける。

瞬間的に「作業中だったらマズイな」と思ったけれど、どうやら稀有だったらしい。

この部屋の主であるAは、ソファに膝を抱えるようにして座っていた。

その隣にはいつだったかウォヌが持ってきた犬のぬいぐるみが鎮座している。

久しぶりに来た。
最後に来たのは三ヶ月くらい前？半年までは経ってなかったと思うんだけど。

閑散としていた部屋に、前来た時よりも少しだけ物が増えたようにも見える。

くるりと部屋の中を見渡すとAが「ジュ二」と僕の名前を確かめるように呼んだ。

「ジュニです」

「ジュニだね、珍しい」

「うん、たまには良いでしょ？」

「シュアに言われたんでしょ？誰か来るとは思ってたけど、ジュニだとは思わなかったな」

「……よくわかったね」

「シュアのことだから、人を寄越すならハンソラ辺りかと思ったんだけど。そこは外れちゃった」

「僕じゃ不満？」

「そんな事思ってないって知ってるくせに」

早々にバレてしまっていたけどこればっかりは仕方ない。

あははと笑うAの隣に座っていたウォヌの犬を、部屋の隅っこにある餌入れの前に移動させる。

「ジュニのそういう細かいところ良いよね」と、よく分からない称賛をするAの隣に改めて座った。

「ジュニは一体、シュアから何を聞いて来てくれたの？」

「シュアヒョンと喧嘩したんだって？」

「違うよ。オレが一方的にシュアを怒らせたんだ」

「へえ、Aが？すごいね」

「すごいでしょ？……で、シュアに叱られちゃって、今は反省してるところ」

「反省できた？」

「うーん、どうかな」

Aが後ろめたそうに苦笑いをしてみせる。

どうやら、反省する気は強くなさそう。

「シュアから理由は聞いた？」

「Aが、Aのお姉さんを悪く言ったって」

「そうだねぇ……」

「お姉さんと仲悪かったの？」

「うーん、なんて言って良いか……オレ達ってちょっと関係が複雑なんだよ」

「双子だから？」

「そうなのかもしれないね」

口では反省中と言ったAだけど、未だに頭の中を整理出来ないでいるようだった。

あやふやに言葉を濁すって事はそういう事なんだろう。

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