男装生活とその日常について３ (ページ22)

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ウジと98s ページ22

ウジ視点

むくりと起きればもうすぐ正午を回る時間だった。

部屋を出るとリビングのソファで、Aが噛り付くようにテレビを眺めている。

あまりにも真剣に眺めているのでサスペンス映画でも見てるのかと思ったら全然違ったらしい。

Aが早送りを止めれば、マイクを片手にミンギュが画面越しにこちらへ微笑んでいる。

どこか心配そうに見つめる瞳はまるで保護者だ。

欠伸を噛みしめながら冷蔵庫を開けると、目に飛び込んでくるアイスコーヒーの行列。

誰が買ったのか知らないけど買いすぎだろう。

そんな事を考えながら、プラスチックの容器に入ったアイスコーヒーを一つ取り出す。

「ミンギュ見てて面白いか？」

「全然。こういうの、スングァニもそうだけど何回見てもハラハラしてダメだな。最後にはいつも見なきゃよかったと思うし」

「何がそんなに不安なんだよ、よくやってるだろ」

「わかってるよ、でもそう思うんだから仕方ないでしょ」

クッションを抱え込んだAがいくらか上の空でそう答えた。

容器の側面に着いていたストローを刺して飲むと「それウォヌのだよ」と言われてしまうけど、まあウォヌなら良いだろ。

あれだけ数があるし、あとで買い足しておけば何も言われない。

「A、お前今日作業室行かないのか？」

「三時から練習入ってるしなぁ……それに、もうすぐ昼ご飯が来るから」

「お前なんか出前頼んだの？」

「うん、出前って言うか……出張料理人？」

「はあ？」

そう返した瞬間に、玄関から騒音が聞こえる。

ドタバタと音を立ててリビングへ流れ込んできたのはスングァニとボノニだった。

なにがそんなに面白いのか、白い買い物袋を両手に下げたボノニが大口を開けて笑い、スングァニが「もうっ！」とその肩を小突く。

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