ジョシュアとそれぞれの家 ページ21
ジョシュア視点
久しぶりに仕事でLAに帰り、まず一番最初にした事は実家に戻る事だった。
移動日の都合で丸二日オフになったのがちょうど良かった。
「せっかくだし一人で行って来たら?」と手を振ろうとするAの腕を掴んで、半ば強引に連れ去る。
一部のメンバーは英語も出来て土地勘のある僕たちが二人で行ってしまう事に「ずるい!」とよく分からない反抗をしていたけれど。
チャレンジ精神を養うには良い機会じゃないかと思う。
ハンソラもさっさと一人でショッピングに出て行ったし。
一応「他のメンバーには悪かったね」と、心にも無い事をAに言いながら実家への帰路を辿る。
家に近づく度、Aが「親子だけの方が」とか「邪魔しちゃ悪いよ」だとか、だんだんとネガティブになっていくのが申し訳ないけどすこし可笑しい。
「お土産、持ってきても無いのに」
「いらないよ」
「そんな事言って……」
「親からすれば、僕たちの元気な姿がお土産みたいなところあるから」
「シュアはそうかもしれないけど、」
「僕の両親はAの事もちゃんと息子だと思ってるよ、電話でもよくそう言ってるでしょ?」
「そうだけど、そうじゃないだろ」
「良いんだよ、何も無くて。あの人たちに一番必要なのは僕たちなんだから」
そう言ってAを宥めると心なしか不安そうに眉を下げた。
「心配性なんだから」と笑いつつ、家のベルを鳴らす。
扉の前までまごついていたAも、僕の両親から熱烈な歓迎を受けてしまえばそうも言っていられない。
母からハグを受けると、緊張の糸が解けたように顔を綻ばせて「ただいま」と小さく照れながら返した。
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せの(プロフ) - 月さん» ありがとうございます! (2019年5月15日 16時) (レス) id: 3e57787c43 (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - なんか、言葉の使い方が素敵過ぎます。 (2019年5月14日 23時) (レス) id: 609dad9df5 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - 神田ニエル。さん» ありがとうございます! (2019年5月13日 15時) (レス) id: 3e57787c43 (このIDを非表示/違反報告)
神田ニエル。 - シュアと夢主ちゃんの関係が素敵で禿げますw (2019年5月12日 0時) (レス) id: 4450166156 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - rinさん» ありがとうございます! (2019年5月11日 14時) (レス) id: fc9298decc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せの | 作成日時:2019年5月4日 20時