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次の日、ヒョンと約束した通り八時にアラームが鳴る。
むくりと起き上がって欠伸をする。同室のウジヒョンがいない。
昨日ジム行って作業室に行くって言ってたけどもしかして帰って来なかったのだろうか。
相変わらずタフなヒョンだなぁ……
パジャマ代わりのTシャツの上から薄いカーディガンを羽織って部屋を出ると、玄関から声が聞こえる。
Aヒョンの声だ、パタパタとスリッパの音を鳴らして向かってみると、玄関にはヒョンとバノニ。
オレに向かって「ヒョン、おはよ」と言い、そのままくるりと背中を向けて出て行ってしまった。
振り返ったヒョンが「寝ぐせ付いてるよ」と笑う。
「ボノニ、一人で遠足に行ったの?」
「いや、昨日おやつ買い忘れたからお使い頼んだ」
「途中で買えばいいのに!」
「わかってないな〜、全部用意してリュックに入れて出掛けるのが遠足なんだろ」
「本格的だね」
「ほらミンギュ、顔洗って歯磨いてきて」
あと寝ぐせも、とAヒョンがオレの背中を押す。
軽く支度を整えてリビングに向かうと、予想外な事に同室のヒョンがソファに座っていた。
「あれ、ウジヒョンがいる」
「オレの住んでる宿舎にオレがいると何か都合が悪いのか」
「も〜、そんな事言ってないじゃん!」
ソファにあぐらをかいて、くわっと豪快な欠伸は隠さない。
スマホを触りながらコーヒーを飲むウジヒョンに尋ねる。
「ヒョン今日寝た?」
「寝たぞ、朝飯食ったらもう一回寝るけど」
「朝飯って……Aヒョンの?」
「他に誰がいるんだよ。お前はオレの母親じゃないだろ」
「じゃ、じゃあAヒョンがウジヒョンのお母さんって事……?」
謎の家族構成を出して、いまいち掴みどころのない事を言うウジヒョンをジトリと見る。
ヒョンはチラリと視線をこちらに寄越し、興味も無さ気に目線をまた手元に落とす。
「オレはAのままごとに付き合ってるだけ」
「ままごと……ままごと?」
「昨日母親がどうのってAと言ってただろ?母親がいるなら、父親もいるだろ」
「ウジヒョンがお父さん……?」
「お前もいつかわかる時が……まあ来ないと思うけど」
「何の話なの」
そう言って、なぜか憂いた表情でスマホに目を戻すウジヒョン。
つまり……どういう事?
向こうでAヒョンの「二人共たまご何個〜?」と言う声が響くまで、寝起きの脳内にウジヒョンの言葉がぐるぐると渦をまいた。
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せの(プロフ) - 月さん» ありがとうございます! (2019年5月15日 16時) (レス) id: 3e57787c43 (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - なんか、言葉の使い方が素敵過ぎます。 (2019年5月14日 23時) (レス) id: 609dad9df5 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - 神田ニエル。さん» ありがとうございます! (2019年5月13日 15時) (レス) id: 3e57787c43 (このIDを非表示/違反報告)
神田ニエル。 - シュアと夢主ちゃんの関係が素敵で禿げますw (2019年5月12日 0時) (レス) id: 4450166156 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - rinさん» ありがとうございます! (2019年5月11日 14時) (レス) id: fc9298decc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せの | 作成日時:2019年5月4日 20時