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_「でもジャケット、貸さなきゃよかったかも」
DK「なんで?」
_「寒い」
Aがシャツの袖をめいいっぱい引っ張りながら手を隠す。
オレと違って汗の一つもかいてないAは、縮こまったままぶるりと肩を竦めてみせた。
「寒がりなのにあんな事しちゃって」と、スングァンに小言を言われて苦笑いを浮かべている。
HS「オレのジャケット貸そうか?」
_「ホシ汗かいてるから遠慮しておく」
HS「え、臭い?」
_「そうじゃなくて。この席かなり風当たるし、汗冷えたら風邪引きそうだから」
DK「でもAヒョン寒いでしょ?オレの使いなよ」
SG「僕脱ぎましょうか?」
_「良いって、メインボーカルに身体壊されるの困る」
そう言われても脱ごうとしていたソクミナの肩を、Aは少し笑いながら押さえつけた。
弟たちが不満そうに口を突き出していると、少し遅れてミンギュが席にやって来る。
Aの隣に座り、不思議そうな顔をして首をかしげた。
MG「あれ?ヒョン、上着は?」
_「失くした」
MG「えっ?どこに?」
_「わからない」
MG「も〜、さっきヒョンに会場寒いよって教えてあげたばっかりじゃん……まったく、どこに置いてきちゃったの?」
ミンギュが困ったように眉を下げてジャケットを脱ぎ、Aの肩にふわりと乗せる。
その間何秒だったろうか。
あまりの早業にオレも二人もAも、ミンギュに何かを言う暇すらないほどにスマートだ。
_「ほら、ミンギュじゃなくてよかったでしょ?」
DK「確かに〜!」
MG「なになに?何の話?」
HS「お前は気にすんな!」
MG「な、なんで!」
SG「ほらAヒョン、ちゃんとジャケット着てください。ヒョンに風邪引かれるのも困るんですからね」
スングァニが先ほど自分に言われた言葉を返すようにそう言えば、バツが悪い顔をしてAがミンギュのジャケットに袖を通す。
手を出そうとして何かに気付いたようにAが目を丸くした。
横に座るオレと視線を合わせる。
_「ヤバい」
DK「なにが?」
_「ミンギュのジャケットめちゃくちゃ大きい」
Aが手を伸ばすと、袖から指先は出てこない。
腕の部分はかなり生地が余っていて、完全にオーバーサイズだ。
『服に着られる』ってきっとこういう事を言うんだろう。
ソクミナとスングァンが笑いを堪えて、耐えきれずに下を向いた。
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せの(プロフ) - あゆさん» ありがとうございます! (2019年5月29日 9時) (レス) id: ce3e37b412 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ - 初めまして。男装モノ大好きです。シリアスも好きです。(要らない情報) (2019年5月28日 17時) (レス) id: 0c6540a428 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - 冴木薫さん» ありがとうございます!多分直りました (2019年5月15日 16時) (レス) id: 3e57787c43 (このIDを非表示/違反報告)
冴木薫(プロフ) - 初めまして!とても楽しく読ませていただいてます! 読んでて少し気になったのですが、たぶん名前変換のところがたびたび_になってます… もしかしたらあたしだけかもしれないですが、もしお時間があれば確認していただけませんか? これからも執筆活動応援しています! (2019年5月15日 14時) (レス) id: 3ed73169f6 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - 殺し愛さん» ありがとうございます! (2019年5月3日 20時) (レス) id: 73addbec04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せの | 作成日時:2019年4月24日 23時