この音にのせて Ⅱ (ページ8)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:8,706 hit

58 ページ8

.

「あ、シュア、来るなら連絡しろよ笑

久しぶりだな、A」

「お久しぶりです、」

初めて入る先輩の部屋は綺麗に整頓されていて

必要最低限、無駄なものは一切無しって感じ

モノトーンで統一されたシンプルなお部屋だった

「なんで来たの」

「え、」

「あ、ごめん、嫌なわけじゃなくて」

「僕が連れてきたの」

ジス先輩はもってきたお菓子を机の上に置いて

ベッドで寝ているハニ先輩の元へ近寄った

「ほら、そんなとこ立ってないでAちゃんもおいで」

「それ俺が言うこと」

2人が笑いあっているのを見て

思わず

「おい、」

「ちょ、どうしたの、Aちゃん」

泣いてしまった

みっともない、高校生にもなって

だけど嬉しかった

今まで通りであることが嬉しかった

先輩の笑顔を見れたことが嬉しかった

「早くこっち来い、慰めてやれねぇから」

「っ」

先輩が呼んでくれているのに

足が動かない

すると

「ったく、しょうがねぇな笑」

先輩が起き上がって

「無理しないでよ」

「分かってるって、歩くくらい出来るっての」

わたしの所へ足を向けた

「先輩、」

「悪かったな心配かけて」

先輩の手が自分の手と重なり

気付いたときには先輩の方へ抱き寄せられていた