憧れのひと

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撮影打ち合わせ日。

久しぶりにサークルの人たちに会うから緊張していた。またあのピリピリした空気が待ち受けている、と気が重いまま扉を開けると、そこに広がる景色は私がいた頃とまるで違っていた。


みんなの息が合わなくて行き詰まればすぐに休憩をとって切り替えたり、間違えてもみんなが声掛けして励ましあったり。殺伐としていたあの頃とは違うところみたいだ。

ソクミンくんとミョンホくんはニコニコ手を振ってくれたし、ジュン先輩は目が合うとウインクをしてくれた。

雰囲気だいぶ変わったんだよってソクミンくんが前に話してはいたけど、その時はとても信じられなかった。あれは本当だったんだ。




なにより変わったのはクォン先輩だ。


自ら盛り上げて、楽しい雰囲気を率先して作っていた。
思い返せば飲み会ではそういう役割を担っていたかもしれない。当時はノリが悪い人のことは置いてけぼりだったけど、いまは後輩にも積極的に話しかけて、チーム全体の士気を高めるように努力しているように見えた。

それに、稽古場であんなに楽しそうに笑っている姿を初めて見た。前は意見も言えない絶対的カリスマだったけれど、今目の前の先輩はみんなの意見を聞いて柔軟に取り入れているし、それを楽しんでいるように見えた。



振り付けひとつひとつに意味があって、そのひとつひとつを愛おしそうに誇らしげに説明してくれた姿に、憧れの気持ちが蘇る。


そのダンスへの純粋な気持ちに、私も今できることで応えたい。みんなの熱量に負けないくらいの力で、カッコいいものを撮りたい。

自分の中で、消そうとしていた火が再びぽっとついたような気がした。



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